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【勝ち組?】丸井グループの就職偏差値・難易度と平均年収【企業研究レポート】

企業概要

丸井グループは、ファッション小売・商業施設賃貸・クレジットカードなどを展開する大手小売流通会社。1931年に青井忠治が家具の月賦販売会社として創業。1960年には国内初となるクレジットカードの発行を開始、1980年代からは若者向けのアパレル販売を主力事業として小売×金融のビジネスモデルで急成長。2006年にはVisaのライセンシーとしてエポスカードの発行を開始。現在ではクレジットカード会員数は700万人を越える他、全国の主要都市にOIOI・モディ20店舗以上を展開。

POINT

・ファッション商業ビルやクレジットカードで有力、店舗は都市部に集中
・業績は安定的かつ小売業界としては傑出した利益率を誇る
・平均年収634万円だが退職金はない、残業少なくテレワーク比率も多め

就職偏差値と難易度

✔就職偏差値:60(中堅)

上場企業・著名企業に勤務するサラリーマンとしては中堅クラスの待遇を得られる。安定性や待遇に目立った課題はほぼなく、良好な人生を送ることができる可能性が高いだろう。
詳細な企業分析は以下の業績動向社員の待遇を参照。本レポート末尾に総合評価を記す。

✔就職難易度:中難易度

総合職の採用実績は年間30名~40名ほど。都市部では有名企業だけあって関東・関西からの応募が多い。小売業界の志望者だけでなく、信販業界の志望者も集まる。
採用大学:【国公立】大阪大学・千葉大学・埼玉大学・山梨大学・東京都立大学など、【私立】青山学院大学・法政大学・立命館大学・成城大学・明治学院大学・聖心女子大学・白百合女子大学・武蔵野美術大学など(出典:マイナビ2026

業績動向

✔売上高と営業利益

丸井グループの売上高は2018年に2,514億円を記録したが、2019年以降はCOVID-19感染拡大による一時的下落に直面。直近の2023年は売上高2,352億円となっている。営業利益は2020年に152億円まで急落したが、同年を除けば310億~410億円ほどで横ばい*1。
*1:2020年にはCOVID-19以前の利益水準に早期回復しているが、これは当社が利益の殆どを商業ビル賃貸とクレジットカードなどから得ていることが理由。自社の直接小売は小規模であるためにCOVID-19営業からの回復は早かった経緯がある。

✔セグメント別の状況

丸井グループは、小売事業(商業施設の賃貸・運営、アパレル商材の仕入れ販売、広告宣伝、ファッション物流受託など)、フィンテック事業(クレジットカード・消費者ローン家賃保証サービスなど)、の2事業を有する。
当社はかつては自社でのアパレル仕入販売にも熱心であったが、現在は商業施設運営やクレジットカードなどの領域を重視。利益率が低い小売事業は限定的に留め、不動産や金融など高利益率を見込める領域に特化している。

✔最終利益と利益率

丸井グループの純利益は2020年に22億円に急落したが、同年を除けば180億~250億円ほどで横ばい。営業利益率は2020年を除けば13%~17%レベルで推移しており、高利益率を安定性に確保できている点が光る*2。
*2:当社がアパレル小売業で珍しい高利益率を確立できているのは、クレジットカードなどの金融領域や商業施設の賃料収入に特化した成果である。

✔自己資本比率と純資産

丸井グループの自己資本比率は、長期的な低下傾向が続いており、直近では25.2%となっている。これは他人資本を大規模に活用する不動産事業や信販事業を重視する当社のビジネスモデル上やむをえない。純資産はやや減少傾向にあり、2023年は2,536億円となっている。

社員の待遇

✔平均年収と平均年齢

丸井グループの平均年収は630万~660万円ほどで長期的に安定している。総合職の場合、30歳で年収430万~490万円、課長職レベルで年収700万~890万円が目安。だだし、これは持株会社の270人の平均年収であり、店舗スタッフなどは含まれていない。金融業と小売業の中間的な給与水準。

✔従業員数と勤続年数

丸井グループの単体従業員数は直近で270人となっており、従業員の殆どは事業会社に属している。子会社や関連会社の従業員も含めた連結従業員数は4,900人ほど。平均勤続年数は直近で15.5年と大手企業の標準的な水準だが、これも持株会社の270人の平均勤続年数である。

総合評価

企業格付け:CC

首都圏などの大都市部で「OIOI」や「モディ」などの商業施設を展開する他、クレジットカード「エポスカード」を発行している企業。戦前から月賦販売を主力とする事業展開をしてきた企業であり、現在に至るまで小売×金融のビジネスモデルで発展してきた。2000年代からは商業施設をテナントに貸し出して賃料収入を安定的に確保する方針にシフトしており、自社による小売販売は規模を縮小。その甲斐もあって、小売業界としては稀有な営業利益率10%以上を安定的に稼げる高利益率企業となった(現在の当社は信販業界と分類する方が実態に近いであろうが)。このビジネスモデルは景気後退局面でも強く、小売業界がCOVID-19により大打撃を被った2020年にも純利益22億円を確保できたうえ、2021年には純利益177億円までの回復を早々に果たした。新たな中期経営計画では、①2050年を見据えた新たな店舗業態「売らない店」「イベントフルな店」への転換、②関連性があるスタートアップ企業への投資加速、③キャッシュレス決済の潮流を捉えたクレジットカード事業の拡大、などを掲げる(参考リンク)。小売×信販のフロントランナーとして先見の明が光る。

就職格付け:C

関東圏・関西圏を中心に多数の商業施設を展開する小売り会社。地方においては存在感はない一方で、都市部在住者には高い知名度を有する。クレジットカードの発行枚数は約700万枚にも達しており、三井住友カード(5,000万枚以上)や楽天カード(3,000万枚以上)には遠く及ばないとはいえ国内シェア上位10社には食い込む勢力を築いている。給与水準は小売業界と金融業界の中間あたりが意識されており、平均年収は630万~660万円ほどで長期的に安定。持ち株会社の総合職であれば30歳で年収430万~490万円、課長職レベルで年収700万~890万円が目安となる。福利厚生においては退職金制度がなく、退職金は給与に含みとなっているため他社比較の際には年収を割り引いて見ておく必要はあるだろう。小売業界として見ればホワイトな労働環境であり、全社の平均残業時間は5.2時間(2022年)かつ総合職のテレワーク実施率は38%(2022年)。小売業界としてはかなりの優良企業と言えるだろう。

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出典:株式会社丸井グループ(有価証券報告書)