企業概要
不動テトラは、地盤改良工事・消波ブロックなどを主力とする建設会社。2006年に不動建設とテトラが合併して誕生。地盤改良工事をはじめとする土木工事を得意とする不動建設と、消波ブロック(テトラポット)を得意とするテトラが合併することで海洋土木を含めた土木工事全般を手掛ける土木系ゼネコンとして発展。液状化対策や防災対策における豊富な実績により、官公庁・大手企業から受注を獲得している。現在では港湾・空港などの地盤工事で高シェアを有しているほか、河川工事・海岸工事でも有力。
・地盤改良工事を得意とする中堅ゼネコン、テトラポットの開発元でもある
・売上高・利益は横ばい傾向で安定的、財務体質はかなり良好
・平均年収729万円で年間休日日数129日と休みが多い、従業員の定着がよい
就職偏差値と難易度
✔就職偏差値:62(中堅上位)
大手企業の中でも中堅上位クラスの1社であり、世間的にも有名企業として認知される。入社できればサラリーマンとして、かなり安定した人生が得られるだろう。
詳細な企業分析は以下の業績動向・社員の待遇を参照。本レポート末尾に総合評価を記す。
✔就職難易度:中難易度
総合職の採用実績は年間20名~35名ほど。一般知名度の低さに加えて建設業界の不人気傾向によって選考倍率は高まりにくく、穴場感は強い。
採用大学:【国公立】千葉大学・岡山大学・岐阜大学・愛媛大学・鹿児島大学・大阪公立大学・下関市立大学など、【私立】中央大学・学習院大学・日本大学・東洋大学・獨協大学・帝京大学・中部大学・愛知大学・文教大学・東京理科大学・芝浦工業大学など(出典:マイナビ2027)
業績動向
✔売上高と営業利益
不動テトラの売上高は630億〜720億円ほどで長期的に横ばいが続いている*1。1995年には過去最高となる売上高2,586億円を記録したが、最近においては売上高の増減は激しくない。営業利益は26億〜45億円ほどで推移しており、かなり安定している。
*1:当社の売上高が安定している理由は、主力事業において国・地方自治体からの受注比率が高いために景気動向に業績を左右されにくい点にある。ただし、日本国内における公共工事は1990年代にピークアウトしているために売上高が伸び悩んでいる状況でもある。
✔セグメント別の状況
不動テトラは、土木事業(道路・トンネル・橋梁・下水道などの陸上土木工事、埋立護岸・港湾など海洋土木工事など)、地盤改良事業(陸上・海上における地盤改良工事、施工機械の賃貸・商品販売など)、ブロック事業(港湾・漁港・河川・海岸向けの消波ブロックの鋼鉄型賃貸、関連商品の販売)、の3事業を有する。
当社は消波ブロック(テトラポット)が主力事業とも思われがちだが、ブロック事業が売上高・利益に占める割合は10%にも満たない。当社の稼ぎ頭は地盤改良事業であり、同事業が全社利益の約97%を占める。海外展開も進めており、アメリカではAmazonの新拠点向けの地盤改良工事も遂行(参考リンク)
✔最終利益と利益率
不動テトラの純利益は20億〜29億円で推移しており、景気後退局面にも安定的に利益を確保できている。営業利益率は4%〜6%ほどで安定的に推移しており、2024年には3.91%にやや後退。
✔自己資本比率と純資産
不動テトラの自己資本比率は緩やかな増加傾向にあり、2023年には59.4%となっている。負債に依存しすぎない事業運営ができており、財務体質はかなり堅実であろう。純資産は緩やかな増加傾向にあり、2023年には332億円に到達している。
社員の待遇
✔平均年収と平均年齢
不動テトラの平均年収は720万〜820万円ほどで推移している。総合職の場合、30歳で年収570万~650万円、課長職レベルで年収900万~1,050万円が目安。中堅ゼネコンとしては高めの給与水準となっている。平均年齢は45.8歳(2023年)となっており、大手企業の標準的な水準をやや上回る。
✔従業員数と勤続年数
不動テトラの単体従業員数は緩やかな増加傾向が続いており、2023年は850人ほどの組織体制となっている。子会社や関連会社の従業員も含めた連結従業員数は980人ほど。平均勤続年数は19.4年(2023年)と大企業の標準的水準をやや上回る。
総合評価
企業格付け:CC
地盤改良工事や海洋土木工事に強みをもつ土木系ゼネコン。とりわけ港湾・空港・護岸工事などに卓越した知見を有しており、国・地方自治体から元請会社として数々の受注を獲得している。代表的な施工実績には、羽田空港(滑走路地盤改良)や中部国際空港(埋め立て・地盤改良)、福島県災害復旧(海岸堤防建設)などがある。業績においては売上高・利益いずれも極めて安定的であり、過去8年間に渡って良くも悪くも浮き沈みがない。これは国・地方自治体からの受注比率が高いために、景気動向に受注を左右されにくいため。よく言えば安定企業だが、日本国内においては大々的な公共工事ブームは1990年代に終結しており、将来的な伸びしろはそれほどないとも言えるだろう。財務体質においては自己資本比率59.4%(2023年)と良好であり、業績の安定性をも加味すれば不安要素はあまりない。
就職格付け:CC
2006年に不動建設とテトラが合併したことで誕生した企業であり、港湾・海岸でよく見かける消波ブロック『テトラポット』は当社による登録商標である。給与水準においては平均年収729万円(2023年)となっており、中堅ゼネコンとしては高めの給与水準となっている。総合職の場合、30歳で年収570万~650万円ほど、課長職レベルで年収900万~1,050万円が目安となるだろう。福利厚生においては建設業界としては恵まれており、年間休日日数129日と休みが多い。夏季休暇・年末年始休暇は連続5日以上が設定されており、長期連休はしっかりと休める。住宅手当は独身者1万円/月・既婚者2万円/月で固定支給だが、施工管理職は会社が全額負担で宿舎が提供される。こうした厚遇もあってか平均勤続年数は19.4年(2023年)と著名な大手メーカーを凌駕する高水準にあることも見逃せない。