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建設

【勝ち組?】三井住友建設の就職偏差値・難易度と平均年収【企業研究レポート】

企業概要

三井住友建設は、三井グループ・住友グループに属する準大手建設会社。1887年に西本健次郎が和歌山県において建設会社として創業。終戦後の1945年に三井不動産が出資して、三井建設へと社名を変更。1968年には日本初の超高層ビル・霞が関ビルディングを竣工、昭和期から数々の超高層ビルを建設した。2003年には同業の住友建設と合併して現社名へと社名変更。現在では高層ビル・タワーマンションを得意分野としつつ、コンクリート橋梁・アウトレットモールの施工実績では国内首位級である。

POINT

・三井Gと住友Gに属する準大手ゼネコン、高層ビル建築を得意とする
・売上高は横ばい傾向だが利益は悪化傾向、財務体質の悪化も懸念
・平均年収888万円と業界上位クラスの待遇、福利厚生もかなり良好

就職偏差値と難易度

✔就職偏差値:62(中堅上位)

サラリーマンの中堅上位クラスの待遇を得られ、世間的にも有名企業・大企業勤務として認知される。サラリーマンとして安定した人生が得られるが、入社するには人並み以上の努力が必要だろう。
詳細な企業分析は以下の業績動向社員の待遇を参照。本レポート末尾に総合評価を記す。

✔就職難易度:やや難関

総合職の採用実績は年間80名~130名ほど、ハイレベル大学から中堅大学まで幅広い。財閥系の大手建設会社ながら、建設業界の不人気傾向によって選考倍率は高まりにくい。
採用大学:【国公立】大阪大学・東北大学・神戸大学・金沢大学・横浜国立大学・岐阜大学・富山県立大学・北見工業大学・長岡技術科学大学など、【私立】明治大学・中央大学・日本大学・東洋大学・専修大学・名城大学・中部大学・東京理科大学・芝浦工業大学・金沢工業大学・ものつくり大学など(出典:マイナビ2027

業績動向

✔売上高と営業利益

三井住友建設の売上高は2020年・2021年に下落*1したが、同年以降は増加傾向。2023年には売上高4,794億円に到達している*2。営業利益は2019年まで240億~305億円で推移していたが、2021年・2022年には赤字圏に転落*2。2023年には営業利益85億円に黒字転換したが、苦戦傾向がみられる。
*1:当社の売上高が2020年・2021年に下落した理由は、①進行中の工事の多くが施工の初期段階で売上高に計上できなかった点、②COVID-19感染拡大によって海外建築の計画延期が増加した点、など。
*2:当社が2021年・2022年に赤字転落した理由は、超高層マンション『麻布台ヒルズ レジデンスB』の工事コストの増加が主要因。地下公示における工法変更による工期遅延に加えて、労務費上昇がコスト高として直撃(参考リンク)。

✔セグメント別の状況

三井住友建設は、土木事業(国内外における橋梁・道路・トンネル・ダム・土地造成など)、建築事業(国内外における高層ビル・マンション・商業施設・病院・物流施設など)、その他事業(太陽光発電事業・保険代理店業など)、の3事業を有する。
当社は高層建築分野を得意とした三井建設と、橋梁・土木分野を得意とした住友建設が2003年に合併して誕生した企業。そのため、現在においても売上高における土木事業・建築事業の割合は半々に近い。ただし、最近では建築事業での相次ぐ工事損失により、土木事業が当社にとって重要な稼ぎ頭となっている。

✔最終利益と利益率

三井住友建設の純利益は2019年まで150億~210億円ほどで推移していたが、2022年には▲257億円に赤字転落。2023年には純利益40億円にやや回復。営業利益率も2019年まで5%~7%ほどで推移していたが、2023年は1.77%と低迷傾向にある。

✔自己資本比率と純資産

三井住友建設の自己資本比率は17.0%(2023年)とかなり低めの水準。大手建設会社としては下位レベルの自己資本比率となっており、負債がかなり重い*3。純資産は2020年に1,103億円に到達したが、同年以降は急落。2023年は純資産771億円に留まる。
*3:当社は2010年代から自己資本比率の低空飛行が続いていたが、2021年・2022年における損失計上によって純資産が毀損。これにより自己資本比率が更に低下している状況にある。

社員の待遇

✔平均年収と平均年齢

三井住友建設の平均年収は888万円(2023年)と、建設業界でも上位クラスの給与水準となっている。総合職の場合、30歳で年収600万~680万円、課長職レベルで年収930万~1,050万円が目安。平均年齢は46.1歳(2023年)と大手企業の標準的な水準をやや上回る。

✔従業員数と勤続年数

三井住友建設の単体従業員数は2022年まで緩やかな増加傾向がみられたが、同年以降は横這い。2023年は2,963人ほどの組織体制となっている。子会社・関係会社を含めた連結従業員数は5,520人ほど。平均勤続年数は20.9年(2023年)と大手企業の標準的な水準を上回り、建設業界としては長めの水準である。

総合評価

企業格付け:CC

三井グループ・住友グループに属する準大手建設会社。主要な建設実績としては銀座8丁目ビル住友不動産御成門タワー小田原ブルーウェイブリッジなどがある。とりわけ超高層ビルの建設においては業界トップクラスの実績があり、地上64階建て・高さ260mに及ぶ『麻布台ヒルズ レジデンスB』も当社による施工である。業績においては売上高こそ4,000億~4,700億円ほどで横這いだが、利益が苦戦傾向。2021年・2022年には『麻布台ヒルズ レジデンスB』の工事難航によって純損失に転落している。財務体質においては自己資本比率17.0%と著名ゼネコンのなかでは下位となっており、自己資本の低迷に苦しんでいる。上述した2021年・2022年の純損失によって純資産が目減りしており、業績悪化が財務体質の悪化に波及している状況にある。

就職格付け:CC

三井不動産住友不動産が大株主に名を連ねているが、同2社の保有比率はそれぞれ5%にも満たないため影響力は限定的。その証左に、代表取締役社長を含めた役員ポストの殆どが当社プロパー組が占めており、天下り役員は殆どいない。給与水準においては平均年収888万円(2023年)と建設業界でも上位クラスの待遇。総合職の場合、30歳で年収600万~680万円、課長職レベルで年収930万~1,050万円が目安となるだろう。福利厚生においても業界上位クラスであり、独身者であれば月額1.5万円で独身寮に入居できる他、家賃補助制度では最大4万円/月が支給される。若手社員に限っては帰省費用も会社負担として交通費が支給される(年2回まで)。社員の健康推進の一環として、禁煙を希望する社員に対して禁煙外来受診費用補助も支給される。

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出典:三井住友建設株式会社(有価証券報告書)