企業概要
ロジスティード(旧社名・日立物流)は、サードパーティロジスティクス・国際物流を主力とする物流会社。1950年に日立製作所の輸送を請け負う物流子会社として創業。創業から30年以上に渡って日立グループ向け業務に特化していたが、1986年からグループ外にもサービスを開始。小売業・製造業向けに物流システムを構築・運営を請け負う3PL(サードパーティロジスティクス)で成長、現在では同分野で国内首位を誇る。2022年に米投資ファンド・KKRが当社を買収、日立グループを離脱して現社名へと社名変更。
・かつての日立物流がグループ離脱に伴い社名変更した大手物流会社
・売上高・利益は安定的で景気後退局面にも強い、海外売上高比率44%と高め
・平均年収826万円、持株会社の従業員は住宅補助も手厚く待遇良好
就職偏差値と難易度
✔就職偏差値:64(中堅上位)
サラリーマンの中堅上位クラスの待遇を得られ、世間的にも有名企業・大企業勤務として認知される。サラリーマンとして安定した人生が得られるが、入社するには人並み以上の努力が必要だろう。
詳細な企業分析は以下の業績動向・社員の待遇を参照。本レポート末尾に総合評価を記す。
✔就職難易度:中難易度
総合職の採用数は年間30名~40名ほど、企業規模の割に採用数は多くない。3PL業界首位の大手企業ながら、物流業界の不人気もあって選考倍率は高まりにくい。かなりの穴場。
採用大学:【国公立】九州大学・神戸大学・滋賀大学・埼玉大学・弘前大学・東京外国語大学・東京海洋大学など、【私立】早稲田大学・上智大学・同志社大学・中央大学・法政大学・関西大学・龍谷大学・獨協大学・明治学院大学・関西外国語大学・和洋女子大学など(出典:マイナビ2026)
業績動向
✔売上高と営業利益
ロジスティードの売上高は2020年まで6,500億~7,100億円で推移していたが、同年以降は増加傾向。2022年には過去最高となる売上高8,143億円に到達*1。営業利益は2022年まで290億~440億円で安定していたが、2023年には208億円に下落している*2。
*1:2021年・2022年に売上高が増加した理由は、①為替レートの円安推移による為替効果、②COVID-19影響一服後の景気回復局面における取り扱い物量の増加、が主要因。
*2:2023年に営業利益が下落した理由は、①世界的な人件費・物価上昇によるコスト増加、②早期退職者の募集によるリストラ費用の増加、③2021年に発生した従業員の放火による火災被害の継続計上(参考リンク)、など。
✔セグメント別の状況
ロジスティードは、国内物流事業(サードパーティーロジスティクス、長距離貸切輸送・中継輸送・特殊品輸送、重量機工・移転、包装ソリューションなど)、国際物流事業(航空輸送・海上輸送・フォワーディングなど)、その他事業(物流管理システム、自動車修理・売買・リース)、の3事業を有する。
当社は顧客企業から物流システムの構築・運営を請け負う3PL事業を主力とする。小売業や製造業などにとって物流業務はノンコア領域であり、当社が物流システムの構築・運営を一括して請け負うことで顧客企業はコア領域に専念できる(参考リンク)。1976年から海外事業にも注力しており、現在では売上高の約44%を国際物流事業が占める。
✔最終利益と利益率
ロジスティードの純利益は130億~255億円で安定しており、景気後退局面も含めて安定的に利益を確保できている*3。営業利益率は4%~6%ほどで推移しており、物流業界としては標準的な利益率。
*3:当社が得意とする3PL事業は、顧客企業の物流業務を一括して請け負う性質から、長期的な取引関係を構築できることが多いために利益も安定しやすい傾向がある。主要顧客のイオンとは2002年から20年以上に渡って物流業務を受託している。
✔自己資本比率と純資産
ロジスティードの自己資本比率は2022年まで低下傾向が続いていたが、これは2019年からリース会計基準が変更となったことが影響している*4。純資産は2019年~2022年まで低下傾向にあったが、2023年には5,577億円まで急増している。
*4:2019年からリースの会計基準が変更となり、それまで貸借対照表に計上していないオペレーティング・リースの資産・負債への計上が義務化された。当社がが借りている倉庫・設備・自動車などの計上が必要となったことで、自己資本比率が急落した経緯がある(参考リンク)。
社員の待遇
✔平均年収と平均年齢
ロジスティードの平均年収は直近で826万円となっているが、これは持株会社の891人の平均年収。総合職の場合、30歳で年収580万~650万円ほど、課長職レベルで年収900万~1,050万円が目安。物流業界としてはトップクラスの給与水準かつ、優秀であれば30代で課長職レベルに登用されることもある。
✔従業員数と勤続年数
ロジスティードの単体従業員は長期的な減少傾向にあり、2023年は891人となっている。子会社や関連会社の従業員も含めた連結従業員数は2.42万人ほど。平均勤続年数は直近で19.4年と長いが、これも持株会社の891人の平均勤続年数。
総合評価
企業格付け:B
3PL(サードパーティロジスティクス)において国内首位の大手物流会社。貨物の輸送を請け負う物流会社とは異なり、顧客企業の物流機能そのものを当社が一括して請け負う3PL事業に強みを持つ。2002年からイオンの物流業務を一括受託しており、同社の物流ネットワークを支えている。業績においては、顧客から長期的に物流機能を請け負う3PL事業の特徴から売上高・利益いずれも安定性が強め。営業利益はCOVID-19感染拡大期も含めて130億~255億円で安定しており、景気後退局面にも底堅いのは美点。当社の中長期的戦略としては「大手企業の物流部門・物流子会社を買収する」ことが挙げられ、2000年代からクラリオン・資生堂・内田洋行・DIC・日産自動車・アルプスアルパインなどの物流子会社を買収してきた歴史がある。これは、大手企業の物流部門・子会社を丸ごと買収することで、当該企業の物流ノウハウを掌握しつつ、長期的なパートナーシップを築くことを意図している。
就職格付け:B
米投資ファンド・KKR傘下の大手物流会社。現社名『ロジスティード(LOGISTEED)』は、LOGISTICS(物流)とExceed(超える)・Proceed(進む)・Succeed(成功)・Speed(スピード)を組み合わせた造語。給与水準においては物流業界としてはトップクラスであり、平均年収826万円(2023年)と大手企業なりの水準。総合職の場合、30歳で年収580万~650万円ほど、課長職レベルで年収900万~1,050万円が目安となるだろう。が、これは持株会社の891人の待遇である点には注意が必要。福利厚生においては家賃補助制度が最大5万円/月が支給される他、転居を伴う転勤者には月額家賃の最大80%が補助される。入社1年目から年次有給休暇が24日付与されるのも地味ながら恵まれている。総じて、物流業界としてはトップクラスの待遇であることは間違いないだろう。強いて言えば、新社名が世間一般にまだまだ普及していないため、企業規模の割に社会的評価が追い付いていないことが惜しまれるか。