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【勝ち組?】パイロットコーポレーションの就職偏差値・難易度と平均年収【企業研究レポート】

企業概要

パイロットコーポレーションは、ボールペン・シャープペンシル・多機能ペン・万年筆など主力とする総合筆記具メーカー。1918年に並木良輔らが万年筆メーカーとして創業。1925年には万年筆の純国産化に成功、蒔絵を施した高級万年筆で欧州市場へと進出。1950年代にはシャープペン・ボールペンの生産を拡大して総合筆記具メーカーへと発展。2006年には消せるボールペン『フリクションボール』を発売、累計販売本数が30億本を超える大ヒット商品となった。現在では筆記具メーカーとして世界トップクラスの規模を誇り、世界190ヵ国以上に商品を輸出している。

POINT

・日本を代表する総合筆記具メーカー、海外売上高比率は約69%と高い
・売上高・利益は安定的で高利益率、実質無借金経営で財務健全
・平均年収706万円と業界トップクラス、年功序列色が強い

就職偏差値と難易度

✔就職偏差値:63(中堅上位)

大手企業の中でも中堅上位クラスの1社であり、世間的にも有名企業として認知される。入社できればサラリーマンとして、かなり安定した人生が得られるだろう。
詳細な企業分析は以下の業績動向社員の待遇を参照。本レポート末尾に総合評価を記す。

✔就職難易度:難関

総合職の採用人数は年間25人~45人ほど。業界トップ企業かつ一般知名度も極めて高いために、やはり人気企業。そのうえ採用人数も少ないため、選考倍率は例年相当に高くなる。
採用大学:【国公立】東北大学・九州大学・筑波大学・横浜国立大学・金沢大学・信州大学・埼玉大学・名古屋工業大学・九州工業大学・京都工芸繊維大学・国際教養大学など、【私立】慶応義塾大学・早稲田大学・明治大学・立教大学・立命館大学・東洋大学・明治学院大学・武蔵野美術大学など(出典:マイナビ2026

業績動向

✔売上高と営業利益

パイロットコーポレーションの売上高は2020年のみ870億円まで急減したが、同年以降は増加傾向。2023年には過去最高となる1,261億円に到達*2。営業利益は140億〜210億円ほどで長期的に推移しているが、2022年には過去最高となる212億円に到達している。
*1:2020年に売上高が急減した理由は、①COVID-19感染拡大による企業活動の停滞による文具需要の縮小、②国内外における販売店の休業長期化による販売不振、など。
*2:2023年に売上高が増加した理由は、①米国市場におけるゲルインキボールペンの販売好調、②欧州市場における『フリクションボール』の販売好調、③為替レートの円安推移による為替効果、など。

✔セグメント別の状況

パイロットコーポレーションは、日本事業(ボールペン・シャープペンシル・多機能ペン・万年筆・手帳・事務用機器などの製造販売)、米州事業(アメリカ・カナダ・メキシコなどにおける事業展開)、欧州事業(イギリス・フランス・ドイツ・ロシアなどにおける事業展開)、アジア事業(中国・台湾・香港・インドネシア・オーストラリアなどにおける事業展開)、の4事業を有する。
当社は総合筆記具メーカーとしては世界最大級の規模を誇り、売上高においては海外売上高比率が約69%を超えるグローバル企業である。利益においては日本事業が約77%を占めるが、これは国内工場から海外市場向けに輸出した文具の利益も含まれているため。

✔最終利益と利益率

パイロットコーポレーションの純利益は2020年のみ99億円にやや後退したが、同年を除けば130億~150億円程で安定的に推移している。営業利益率は長期的に16%~18%ほどで推移しているが、2024年には14.1%にやや後退。筆記具メーカーながら高い利益率を安定的に確保できている。

✔自己資本比率と純資産

パイロットコーポレーションの自己資本比率は右肩上がりの増加傾向が続いており、2024年には79.1%の高水準にまで到達している。純資産も右肩上がりの増加傾向にあり、2024年には1,415億円に到達。

社員の待遇

✔平均年収と平均年齢

パイロットコーポレーションの平均年収は2021年まで640万円前後で安定的に推移していたが、2023年には706万円に増加している。総合職の場合、30歳で年収480万~540万円ほど、課長職レベルで年収900万~1,050万円が目安。年功序列色が強い給与制度となっており、給与に差がつくのは30代以降となる。

✔従業員数と勤続年数

パイロットコーポレーションの単体従業員数は990人~1,050人ほどの組織規模で安定的に推移している。子会社や関連会社の従業員も含めた連結従業員数は2,830人ほど。平均勤続年数は2020年まで22年以上の高水準で推移していたが、2023年には18.4年にやや後退。

総合評価

企業格付け:CCC

コクヨ三菱鉛筆などと並んで日本を代表する総合筆記具メーカーとして知られる企業。筆記具分野に限れば世界トップクラスの企業規模を誇る。万年筆の純国産化に初めて成功した日本企業であり、戦前から欧州市場に高級万年筆を輸出してきた業界の名門である。業績においては売上高・利益いずれも安定的であるが、特筆すべきは営業利益率14%を超える高利益率であろう。過去20年間で筆記具分野には低価格化の波が押し寄せてきたが、当社は高付加価値な商品開発力によってブランド価値を維持できている。財務体質においても極めて優良であり、持ち前の高利益率で稼いだ潤沢な利益を内部留保として蓄積し続けている。自己資本比率は79.1%(2024年)と大いに優良であり、手持ちの現預金391億円(2024年)に対して有利子負債は8.55億円(2024年)に過ぎない。すなわち実質無借金経営であり、安定した利益率をも加味すれば倒産リスクとはまったく程遠い優良企業である。

就職格付け:CCC

日本人なら誰もが知る筆記具メーカーであり、低価格帯から高価格帯まで多種多様な筆記具を販売している。消せるボールペン『フリクションボール』などの革新的製品から、1本100万円を超える蒔絵万年筆『NAMIKIシリーズ』までを網羅。万年筆の先端部分にあたるペンポイント部品を製造できる日本企業は今や当社のみであり、日本の筆記具業界には欠かせない企業である。給与水準においては平均年収706万円(2023年)と筆記具メーカーとしては最高峰だが、他業界の大手企業と比べると普通レベル。総合職の場合、30歳で年収480万~540万円ほど、課長職レベルで年収900万~1,050万円が目安となるだろう。年功序列色が強い給与制度となっており、20代のうちは昇給ペースが緩慢ではある。福利厚生もそこそこ恵まれており、年間休日日数127日と休みが多いうえ毎年10月1日は自社の創立記念日として、会社特有の休日として指定されている。家賃補助制度は月額3万円までとやや渋めだが、転居を伴う転勤となれば月額家賃の約85%が会社負担となる。

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出典:株式会社パイロットコーポレーション(有価証券報告書)