企業概要
ノーリツは、給湯器・温水暖房機器・厨房機器を主力とする住宅設備メーカー。1951年に太田敏郎が風呂釜メーカーとして兵庫県神戸市で創業。1960年代にガス給湯器を開発して同分野へと進出、1977年にガス瞬間貯湯式給湯器『ユービック』を大ヒットさせた。現在では給湯器分野と厨房機器分野をコア事業としており、海外80ヵ国で事業を展開。家庭用ガス温水機器においては国内シェア40%を占め、リンナイと並ぶ業界トップシェアを誇る。
・給湯機メーカーとして業界3位、創業から現在まで兵庫県が地盤
・売上高・利益は2020年に悪化したが回復、ただし利益率は高くはない
・平均年収656万円、福利厚生は企業規模なりだが住宅補助は良好
就職偏差値と難易度
✔就職偏差値:60(中堅)
上場企業・著名企業に勤務するサラリーマンとしては中堅クラスの待遇を得られる。安定性や待遇に目立った課題はほぼなく、良好な人生を送ることができる可能性が高いだろう。
詳細な企業分析は以下の業績動向・社員の待遇を参照。本レポート末尾に総合評価を記す。
✔就職難易度:中難易度
総合職の採用数は年間25名~40名ほど。本社が兵庫県神戸市ゆえに関西地方の出身者が多い。住宅設備メーカーとしては知名度が高いが、選考倍率はそれほど高倍率にはならない。
採用大学:【国公立】広島大学・岐阜大学・福井大学・富山大学・山口大学・大阪公立大学・広島市立大学・兵庫県立大学など、【私立】青山学院大学・立教大学・法政大学・立命館大学・日本大学・東洋大学・亜細亜大学・東京電機大学・大阪工業大学・大阪電気通信大学など(出典:マイナビ2026)
業績動向
✔売上高と営業利益
ノーリツの売上高は2020年・2021年のみ下落*1したが、同年を除けば2,000億〜2,100億円で安定的に推移している。営業利益は2013年の96億円をピークに後退しており、過去8年間は25億〜90億円ほどで推移している。
*1:2020年に売上高が急落した理由は不採算事業となっていた住宅システム事業からの撤退。一時的に売上高を落としたが、2022年には給湯器分野の業績回復によって売上高2,000億円規模に回帰した。
*2:当社の業績が伸び悩む理由は、①国内人口減少による住宅建設数の減少、②給湯器の長寿命化による買い替え頻度の低下、③海外市場における競争激化、④原材料費・人件費の増加によるコスト上昇、など。
✔セグメント別の状況
ノーリツは、国内事業(給湯機器・温水暖房機器・ガスファンヒーター・燃料電池用貯湯タンク・太陽熱温水器、ガスコンロ・オーブンレンジ・レンジフードなどの製造販売)、海外事業(アメリカ・欧州・中国・台湾・ベトナム・オーストラリア・ニュージーランドなどにおける事業展開)、の2事業を有する。
当社の事業領域は、温水空調分野(給湯器・温水暖房機器など)と厨房機器分野(ガスコンロ・オーブンレンジなど)、の2分野。かつては住設システム(浴室システムバス・洗面化粧台など)も展開していたが、2020年に撤退している(参考リンク)。
✔最終利益と利益率
ノーリツの純利益は2020年に純損失▲30.1億円に転落*3したが、同年を除けば8億~50億円のレンジで推移している。営業利益率は2016年を除けば1%~3%ほどで推移しており、利益率は高くない。
*3:2020年に純損失を計上した理由は、構造改革に向けた住設システム事業からの撤退による特別損失85億円の計上が主要因。
✔自己資本比率と純資産
ノーリツの自己資本比率は長期的に53%〜58%で推移しており、大いに良好な水準。純資産は長期的に1,100億〜1,250億円で推移しており、増加も減少もない横ばいが続いている。
社員の待遇
✔平均年収と平均年齢
ノーリツの平均年収は長期的に590万〜650万円で推移している。総合職の場合、30歳で年収520万~600万円ほど、課長職レベルで年収850万~950万円が目安。年功序列色が強いため、給与を上げるためには勤続年数を重ねる必要がある。
✔従業員数と勤続年数
ノーリツの単体従業員は長期的な減少傾向にあり、2023年は2,083人となっている。2020年には約500名ほどの急減が起こったが、これは希望退職者の募集が主要因*4。平均勤続年数は直近で18.2年となっており、大企業の標準的水準を上回る。
*4:当社は構造改革の実行のため2020年に45歳以上の正社員を対象に希望退職者を募集。これに従業員789人が応募したことで従業員数が急減した経緯がある。
総合評価
企業格付け:CC
日系3大給湯器メーカーの一角であり、パロマ・リンナイに続く業界3位。事業規模においてはパロマ(売上高9,045億円)やリンナイ(売上高4,301億円)に対して当社の売上高2,018億円は相当に小さいが、国内市場に限ればリンナイと拮抗してシェア1位を争う関係にある。業績においては苦戦傾向が続いており、売上高・利益いずれも横ばい傾向。当社にとっての逆風は、①人口減少による国内市場の縮小、②給湯器の長寿命化による買い替え頻度の低下、③海外市場における競争激化、④原材料費・人件費の増加によるコスト上昇、など。こうした状況を踏まえ、2020年には不採算事業となっていた住設システム事業から撤退、コア領域へのリソース集中と固定費削減を断行。最新の中期経営計画『Vプラン26』では、給湯器の高機能化やアフターサービス強化による収益性の改善を目指す状況(参考リンク)。
就職格付け:CC
風呂釜メーカーとして創業しながらも、1960年代にガス式給湯機をヒットさせたことで同分野におけるパイオニアとなった企業。お湯張りの完了をメロディーで伝える仕組みを普及させたのも当社であり、1997年から使用し続けている給湯完了のメロディーは絶大な人気と知名度を誇る(参考リンク)。給与水準においては平均年収656万円(2023年)と、住宅設備メーカーとしては標準的な水準。総合職の場合、30歳で年収520万~600万円ほど、課長職レベルで年収850万~950万円が目安となるだろう。福利厚生においては企業規模なりであるが、住宅補助に力を入れている。住宅手当としては月額2.5万円が支給される他、転勤を経験すると借上げ社宅制度で家賃の80%が会社負担となる。更に、勤続年数5年以上になるとマイホームを購入する社員にも15年間に渡って住宅手当が支給される。年間休日は125日と大手メーカー並みに多いのも美点であろう。創業から現在に至るまで兵庫県神戸市に本社を置き続けており、主力拠点は兵庫県神戸市・明石市・加古郡に立地している。兵庫県の出身者であれば魅力はより高まるだろう。