カテゴリー
食品

【勝ち組?】ニップンの就職偏差値と平均年収・待遇【企業研究レポート】

企業概要

ニップンは、小麦粉・米粉・パスタ・冷凍食品などを展開する三井グループの食品メーカー。1879年に雨宮敬次郎が製粉メーカーとして設立、米国製の製粉機を導入して当時としては最先端の製粉技術を確立。1920年代には小麦価格の暴落で窮地に陥った同業他社を次々と吸収して事業規模を拡大。1960年代からは天ぷら粉・ケーキミックス・冷凍食品などの商品展開を強化、食品メーカーとして発展。現在では製粉業界において日清製粉に次ぐ国内シェア2位を誇り、パスタ・冷凍食品・ペットフードなども幅広く展開。

POINT

・製粉業界2位に位置する三井Gの大手食品メーカー、非製粉領域も拡大
・売上高は増加傾向で利益は大いに安定的、財務体質も健全で問題ない
・平均年収722万円だが住宅補助は良好、総合職は数年おきの転勤に注意

就職偏差値と難易度

✔就職偏差値:64(中堅上位)

サラリーマンの中堅上位クラスの待遇を得られ、世間的にも有名企業・大企業勤務として認知される。サラリーマンとして安定した人生が得られるが、入社するには人並み以上の努力が必要だろう
詳細な企業分析は以下の業績動向社員の待遇を参照。本レポート末尾に総合評価を記す。

✔就職難易度:難関上位級

総合職の採用数は年間40名〜50名ほどと企業規模なり。業界最大手の食品メーカーと比べれば人気度はやや落ちるが、それでもハイレベル大学の出身者が多い難関企業である。
採用大学:【国公立】大阪大学・名古屋大学・筑波大学・広島大学・横浜国立大学・静岡大学・東京農工大学・京都工芸繊維大学など、【私立】慶應義塾大学・早稲田大学・上智大学・立教大学・明治大学・日本大学・東京理科大学・芝浦工業大学など(出典:マイナビ2026

業績動向

✔売上高と営業利益

ニップンの売上高は2020年に2,883億円に下落したが、同年からは増加傾向。2023年には過去最高となる4,005億円に到達している*1。営業利益は2022年まで100億~120億円で極めて安定していたが、2023年には過去最高となる203億円に増加*2。
*1:当社の売上高が増加している理由は、①世界的な原材料価格の高騰を受けた値上げ対応による増収効果、②外食需要の増加による業務用食品の拡販、③冷凍食品の販売好調、など。
*2:2023年に営業利益が増加した理由は、①世界的な原材料価格の高騰を受けた値上げ対応による増益効果、②主力の小麦商品群の販売数量の増加、など。

✔セグメント別の状況

ニップンは、製粉事業(小麦粉・ふすま・そば粉など)、食品事業(家庭用小麦粉・米粉・プレミックス・パスタ・冷凍食品・中食関連製品など)、その他事業(ペットフード・健康食品・不動産賃貸・エンジニアリングなど)、の3事業を有する。
当社は小麦粉を主力とする製粉メーカーであるが、冷凍食品・パスタ・ペットフードなども幅広く展開。食品事業が売上高の約56%を占めるが、利益においては製粉事業が売上高の約45%を占めている。

✔最終利益と利益率

ニップンの純利益は2022年まで75億~100億円で極めて安定していたが、2023年に過去最高となる263億円に到達*3。営業利益率は3%台で推移していたが、2023年のみ5%台に増加している。食品メーカーとしては、高くも低くもない利益率となっている。
*3:2023年に純利益が増加した理由は、当社が保有していた政策保有株式の売却による特別利益130億円が主要因である。

✔自己資本比率と純資産

ニップンの自己資本比率は51%~58%レベルで長期的に推移しており、負債に依存しすぎない事業運営ができている。純資産は増加傾向が長年に渡って継続しており、2023年に2,282億円に到達。

社員の待遇

✔平均年収と平均年齢

ニップンの平均年収は長期的に710万〜720万円ほどで極めて安定的。総合職の場合、30歳で年収550万〜600万円ほど、課長職レベルで年収950万〜1,050万円ほど。年功序列色が強い給与制度となっており、若手社員の昇給スピードは遅め。

✔従業員数と勤続年数

ニップンの単体従業員数は2018年から増加傾向が続いており、直近の2023年は1,173人となっている。子会社や関連会社の従業員も含めた連結従業員数は3,800人ほど。平均勤続年数はやや減少傾向にあり、直近では15.3年と大企業の標準的水準に留まる。

総合評価

企業格付け:CCC

製粉業界において日清製粉に次いで国内シェア2位に位置する業界大手。2020年までは社名が「日本製粉」であったが、非製粉事業の割合が高まったことをうけて現社名の「ニップン」に変更した経緯がある(参考リンク)。実際、現在の当社は製粉事業に留まらず、冷凍食品・パスタ・健康食品・ペットフードなど事業多角化が進んでおり、売上高に占める割合は食品事業が製粉事業を上回るまでの状況となっている。業績においては2020年にCOVID-19影響で売上高を落としたが、同年を底に増加傾向に転換。2023年には売上高・営業利益・純利益いずれも過去最高を更新している。…が、これは①世界的な原材料価格の高騰によって値上げ対応、②政策保有株の売却による特別利益、が主要因となっている。財務体質にいては自己資本比率58%(2023年)とかなりの高水準、安定した利益創出力を加味すれば相当以上の健全性を確保できている状況。

就職格付け:B

社名からは想像しにくいが、三井グループに属する大手製粉会社。戦前にあたる1926年には総合商社・鈴木商店が主導して日清製粉と合併する直前まで至ったが、日清製粉側の抵抗によって合併は実らずに現在に至る(参考リンク)。第一次世界大戦後の小麦価格の暴落局面において三井グループの救済を受けた経緯によって、現在においても大株主として三井物産・三井住友銀行が名を連ねる三井グループの企業である。給与水準においては、平均年収は長期的に710万〜720万円ほどで極めて安定的。総合職であれば、30歳で年収550万〜600万円ほど、課長職レベルで年収950万〜1,050万円が目安となる。福利厚生においては借上げ社宅制度が手厚く、月額家賃の約70%が会社負担となるうえ年齢制限もない。すなわち、見た目の平均年収とは別に+100万円ほどの隠れ補助があるため、実質的な生活水準は平均年収よりも上となるだろう。年功序列色が強いために若手社員の昇給スピードは遅いが、恵まれた住宅補助を加味すれば大手食品メーカーなりの高待遇と評価できる。ただし、総合職は3年~5年おきの転勤が前提での採用である(参考リンク)うえ、事業所は北海道から福岡までに広く分散している(参考リンク)ために、居住地が頻繁に変わるリスクはよく覚悟しておきたい。

就職偏差値ランキング【完全版】はこちら!

出典:株式会社ニップン(有価証券報告書)