企業概要
ダスキンは、清掃用具レンタル・清掃サービス・家事代行・外食サービスなどを展開するサービス会社。1963年に鈴木清一が水を使わない清掃技術「ダストコントロール」を展開すべく創業。1964年には家庭用『ホームダスキン』の大ヒットで加盟店が急増。「愛情と誠実」を掲げ、慈善活動にも注力。現在では清掃用具レンタル・清掃サービス・家事代行・害虫駆除などを幅広く手掛け、清掃用具レンタル分野では国内シェア首位。1971年からはミスタードーナツを国内展開、現在では約1,000店舗を展開。
・大阪府発祥の清掃サービス会社、ミスタードーナツも展開
・売上高はやや増加するも利益は横ばい、財務体質は無借金経営で健全
・平均年収733万円で清掃業界トップ級、福利厚生も良い
就職偏差値
✔就職偏差値:62(中堅上位)
大手企業の中でも中堅上位クラスの1社であり、世間的にも有名企業として認知される。入社できればサラリーマンとして、かなり安定した人生が得られるだろう。
詳細な企業分析は以下の業績動向・社員の待遇を参照。本レポート末尾に総合評価を記す。
✔就職難易度:中難易度
総合職の採用数は年間30人~40人と知名度の割には少なめ。総合職の出身大学は多様性に富んでおり、中堅大学からも幅広く採用している。
採用大学:【国公立】大阪市立大学・岡山大学・埼玉大学・滋賀大学・信州大学・三重大学・下関市立大学など、【私立】同志社大学・立教大学・拓殖大学・立正大学・京都学園大学など(出典:マイナビ2025)
業績動向
✔売上高と営業利益
ダスキンの売上高は2020年まで1,530億~1,620億円で推移していたが、2021年からは増加傾向に転換*1。営業利益は長期的に45億~90億円で安定的だが、2021年以降の売上高の増加の割りには利益が伸び悩んでいる*2。
*1:売上高が減少している理由は、フード事業におけるミスタードーナツの好調が主要因。かつての安売り路線を脱したうえ、豊富なラインナップで話題性とテイクアウト需要を掴んだ(参考リンク)。
*2:利益が伸び悩んでいる理由は、①RFID埋め込み型の新布投入に向けた先行投資、②世界的な原材料価格高騰によるコスト増、が主要因。
✔セグメント別の状況
ダスキンは、訪販グループ事業(環境衛生用品・清掃資器材・キャビネットタオルの製造・賃貸、ハウスクリーニング、家事代行サービス、害虫駆除、樹木芝生管理、工場・事業所施設管理サービスなど)、フード事業(ミスタードーナツ・とんかつレストランなど)、その他事業(事務用機器・車両リース、保険代理店、病院マネジメントなど)、の3事業を有する。
当社はレンタルモップ等でよく知られた存在であるが、単なる清掃用具レンタルではなく”訪販事業”として家事代行・害虫駆除・庭木管理など多種多様なサービスを展開している。また、フード事業を第2の柱とすることで事業多角化・業績安定化を果たしている。
✔最終利益と利益率
ダスキンの純利益は長年に渡って20億〜80億円ほどで横ばいが続いている。営業利益率は長期的に2%〜6%ほどで推移しており、利益率はそれほど高くない。
✔自己資本比率と純資産
ダスキンの自己資本比率は長期的に75%以上の水準で安定しており、極めて高い水準で安定。実質無借金経営を達成しており、健全性は大いに良好。純資産は1,400億~1,500億円レベルで横ばい。
社員の待遇
✔平均年収と平均年齢
ダスキンの平均年収は長期的に680万~720万円ほどで推移。COVID-19感染拡大期を除いた平常時であれば平均年収700万円以上で安定している。大卒総合職であれば30歳で500万~600万円ほど、課長職レベルで850万~950万円ほど。
✔従業員数と勤続年数
ダスキンの単体従業員数は長期的に1,900人~2,000人レベルで安定的。子会社や関連会社の従業員も含めた連結従業員数は3,800人ほど。平均勤続年数は15年〜16年ほどで推移しており、大手企業の標準的な水準となっている。
総合評価
企業格付け:CCC
大阪府発祥の清掃サービス会社であり、清掃業界における巨人。1960年代に吸着剤を浸透させた雑巾・モップを開発、水に濡らさず埃を吸着できる技術によって業界トップ企業に上り詰めた。業績はかなりの安定型であり、売上高・利益いずれも急変動はない。2021年からはフード事業におけるミスタードーナツの好調により売上高は増加しており、2023年には1,787億円に達している。財務体質も大いに健全であり、直近の2023年は自己資本比率76.8%と盤石。実質無借金経営も達成しており、負債に依存しない事業運営を実現できている。人類社会において埃は常に排出されつづけるため社会的ニーズは高いのだが、異業種の大手企業の清掃業界への新規参入は極めて稀であるために競合リスクも少ない。
就職格付け:CCC
清掃業界という特殊な業界にありながら、高い知名度・ブランド力を持つ不思議な企業。ミスタードーナツというドーナツ分野のトップブランドを展開していることも一因であろうが、少なくとも清掃業界で当社以上の知名度・ブランド力を持つ企業はまずない。給与水準もかなり良好であり、COVID-19感染拡大期を除けば、平均年収700万円以上で安定。大卒総合職であれば30歳で500万~600万円ほどになり、課長職レベルで850万~950万円に達する。福利厚生も整備されており、家賃補助制度・借上げ社宅制度・退職金制度などもしっかり。家賃補助制度は転勤者を厚遇しており、転勤者は月額家賃の最大70%が支給されるうえ、引越手当として最大20万円が一時金として支払われる。定期的にミスタードーナツの引換券も支給される他、自社サービスの割引もある。さすが創業理念が「愛情と誠実」であっただけに家族主義的な制度設計である。