企業概要
タナベコンサルティンググループは、中小企業・大企業向け経営コンサルティングを主力とする中堅コンサルティング会社。1957年に田辺昇一が経営相談所として創業。関西エリアを地盤として経営者向けセミナーや製造業向け生産管理アドバイスによって急成長。まだ経営コンサルティングという概念がなかった日本において、経営コンサルティング会社のパイオニアとして発展。2004年にはジャスダック証券取引所に株式上場を果たした。現在では取引実績社数が1.7万社を超え、戦略立案・デジタル・HR・ファイナンス・ブランドなど多種多様な案件を取り扱う。
・創業60年以上の経営コンサル会社、経営者目線のアプローチを重視
・売上高は2020年から増加するも利益は横這い、実質無借金経営で財務健全
・平均年収714万円、実力さえあれば20代で年収1,000万円も可能
就職偏差値と難易度
✔就職偏差値:60(中堅)
上場企業・著名企業に勤務するサラリーマンとしては中堅クラスの待遇を得られる。安定性や待遇に目立った課題はほぼなく、良好な人生を送ることができる可能性が高いだろう。
詳細な企業分析は以下の業績動向・社員の待遇を参照。本レポート末尾に総合評価を記す。
✔就職難易度:難関
総合職の採用数は年間15名〜20名と企業規模なり。昨今のコンサル人気によって選考倍率が高まっており、難化傾向。過去数年の倍率は50倍を超える水準にある。
採用大学:【国公立】京都大学・九州大学・北海道大学・横浜国立大学・新潟大学・鹿児島大学・東京都立大学・兵庫県立大学など、【私立】早稲田大学・上智大学・明治大学・青山学院大学・日本大学・西南学院大学・東京理科大学など(出典:マイナビ2026)
業績動向
✔売上高と営業利益
タナベコンサルティンググループの売上高は2020年から増加傾向にあり、2023年には過去最高となる127.3億円に到達*1。営業利益は7.5億~11.5億円で長期的に横這いが続いており、売上高の成長に反して成長性は見られない。
*1:当社の売上高が増加している理由は、M&A投資によるグループ企業の増加が主要因。2021年1月にグローウィン・パートナーズおよびジェイスリー、2023年にカーツメディアワークスを連結子会社化。
*2:当社の営業利益が伸び悩んでいる理由は、将来的な成長に向けた人材投資・デジタル投資・新規事業開発の拡大によるコスト増加が主要因。
✔セグメント別の状況
タナベコンサルティンググループは、経営コンサルティング事業(戦略・デジタル・財務・HR・ブランド分野における経営コンサルティング~実行支援など)のみの単一事業会社である。
当社のコンサルティングサービスは、①企業の成長戦略の立案・推進(戦略)、②デジタル・DX戦略の立案~実装支援(デジタル)、③人的資本経営に向けた制度・システム構築・人材育成(HR)、④企業価値向上・M&A戦略の実行支援(ファイナンス)、⑤ブランド価値向上~マーケティング支援(ブランド)、など。売上高においては上記の各領域がバランスよく展開されている。
✔最終利益と利益率
タナベコンサルティンググループの純利益は4億~7億円で長期的に横這いが続いており、売上高の成長に反して成長性は見られない。営業利益率は7%~10%レベルで横這いであり、コンサルティング会社としては低利益率。が、これは事業拡大への先行投資が嵩んでいる事情も大きい。
✔自己資本比率と純資産
タナベコンサルティンググループの自己資本比率は2019年をピークに低下傾向だが、直近でも77.1%と高水準。有利子負債をいつでも一括返済できるだけの現預金を常に確保しており、実質無借金経営。純資産は2022年まで緩やかな増加傾向が続いていたが、2023年には113億円にやや減少。
社員の待遇
✔平均年収と平均年齢
タナベコンサルティンググループの平均年収は長期的に690万〜710万円で安定的に推移。新卒入社の場合は入社1年目で420万円が確約され、その後は個人業績に応じて年棒額が大きく変動する。目安としては、コンサルタント職で年収500万〜900万円、マネージャーレベルで年収800万〜1,300万円ほど。
✔従業員数と勤続年数
タナベコンサルティンググループの単体従業員数は2021年に388人に到達したが、2022年に急減*4。2023年は53人の組織体制となっており、従業員の殆どは事業会社に属している。子会社や関連会社の従業員も含めた連結従業員数は600人ほど。平均勤続年数は直近でも7.7年に留まり、あまり長くはない。
*4:2022年に単体従業員数が急減した理由は、純粋持株会社体制への移行。コンサルタントなど実務を担う従業員を連結子会社・タナベコンサルティングの所属に改めたことで単体従業員数が急減した。
総合評価
企業格付け:CC
1957年に田辺昇一が創業した老舗の経営コンサル会社。日本において経営コンサルティングという概念がなかった時代から経営者向けセミナーを通じて業界を開拓してきた歴史を持つ。業績においては2020年から増加傾向にあるが、これはM&A投資により連結子会社を増やしている影響が大。当社の経営コンサルティングサービスの拡充・深化を図るべく、直近数年でも財務会計コンサル会社・ブランドコンサル会社・PR会社などを傘下入りさせている。こうした先行投資や人材投資が嵩んでいるために(売上高の増加に反して)全社利益は伸び悩んでいるが、中期経営計画においては「2025年までに売上高150億円・営業利益18億円」を掲げている(参考リンク)。財務体質においては自己資本比率77.1%(2023年)とかなりの高水準。手元の現預金55.3億円に対して有利子負債2.1億円(2023年)とかなりのキャッシュリッチ企業であり、財務健全性は大いに良好である。
就職格付け:CC
京都発祥の中堅コンサル会社であり、現在では北海道~沖縄まで日本全国に支社を展開して中小企業・大企業向けのコンサルティングサービスを展開。売上高127.3億円(2023年)と業界中堅の位置づけながら、戦略分野などの上流分野も含めた多種多様なコンサルティングサービスを展開。経営者視点からの提言を重視しており、部門別・課題別のコンサル案件であったとしても経営者目線での真の課題解決へのアプローチを追求している(参考リンク)。給与水準においては平均年収690万〜710万円で安定的に推移しており、コンサル業界としては高くはない。個人業績に応じて年棒額が大きく変動するが、目安としてはコンサルタント職で年収500万〜900万円、マネージャーレベルで年収800万〜1,300万円ほど。実力さえあれば20代のうちから早期昇格・年収1,000万円の大台突破も可能であるが、実力が伴わなければ昇格・昇給は殆どない。企業規模が小さいために福利厚生への期待は禁物だが、若手社員には住宅手当として月額家賃の80%相当額が支給される。
出典:株式会社タナベコンサルティンググループ(有価証券報告書)