企業概要
スタンレー電気は、自動車用ランプ・電子部品・照明などを展開する自動車部品メーカー。1920年に北野隆春らが特殊電球の生産を目指して創業。1933年にはイギリスの冒険家ヘンリー・モートン・スタンリーに由来した現社名へと社名変更。終戦後には日系自動車メーカーの成長と共に事業を拡大。1980年代に自動車向け大型カラー液晶パネルを実用化した他、1990年代には日本車初となるHIDヘッドランプを実用化。現在では小糸製作所・市光工業と共に日系3大自動車ランプメーカーとして知られ、世界各地に33のグループ会社を展開するグローバル自動車部品メーカーとなっている。
・日系3大自動車ランプメーカーの一角、ホンダと資本業務提携を締結
・売上高は横ばいで利益は伸び悩む、財務体質は著しく健全
・平均年収604万円で年功序列色が強めかつ横並び傾向、福利厚生はまずまず
就職偏差値と難易度
✔就職偏差値:60(中堅)
上場企業・著名企業に勤務するサラリーマンとしては中堅クラスの待遇を得られる。安定性や待遇に目立った課題はほぼなく、良好な人生を送ることができる可能性が高いだろう。
詳細な企業分析は以下の業績動向・社員の待遇を参照。本レポート末尾に総合評価を記す。
✔就職難易度:中難易度
総合職の採用実績は年間80名~100名と企業規模の割には採用数が多い傾向。北関東から中部地方に拠点が多いため、同エリア出身者がやや多め。
採用大学:【国公立】名古屋大学・広島大学・静岡大学・新潟大学・信州大学・豊橋技術科学大学など、【私立】関西大学・東京理科大学・工学院大学・東京電機大学・芝浦工業大学など(出典:マイナビ2026)
業績動向
✔売上高と営業利益
スタンレー電気の売上高は3,500億〜4,800億円のレンジで横ばい。長期的な成長も衰退もあまり感じられない。営業利益は2018年に539億円に到達したが、同年以降は250億〜350億円ほどで推移している。
*1:2018年をピークに営業利益が低下している理由は、①COVID-19感染拡大期の自動車メーカーの新車生産台数の減少、②過去の品質問題に関わる補償費用の継続的計上、③中国市場における日系自動車メーカーのシェア低下による減産、など。
✔セグメント別の状況
スタンレー電気は、自動車機器事業(自動車用ランプ・二輪車用ランプなどの自動車用照明製品)、コンポーネンツ事業(LED・液晶などの電子デバイス製品)、電子応用製品事業(液晶用バックライト・操作パネル・LED照明・ストロボ・電子基板など)、その他(金融・経営サービス、身体障がい者雇用促進など)、の4事業を有する。
当社は売上高・利益いずれも自動車機器事業が主力だが、日系自動車メーカー向けの売上高が約90%以上を占めるため、良くも悪くも日系自動車メーカーと一蓮托生。事業多角化として電子部品や照明事業も手がけており、特に電子応用製品事業は全社利益の約30%を占めるまでには成長している。
✔最終利益と利益率
スタンレー電気の純利益は2018年の402億円をピークに、同年以降はやや低迷。2019年からは純利益180億〜260億円のレンジが定着している。営業利益率は長期的に7%〜12%で推移しており、自動車部品メーカーとしては大いに良好な利益率を誇る。
✔自己資本比率と純資産
スタンレー電気の自己資本比率は長期的に70%前後の高水準で安定しているうえ、直近では74%にまで到達。有利子負債は「金融機関とのお付き合い」レベルしかなく、事実上の無借金経営を達成している。純資産は右肩上がりでの増加が続いており、直近では5,893億円に到達。
社員の待遇
✔平均年収と平均年齢
スタンレー電気の平均年収は590万〜650万円ほどで推移。総合職の場合、30歳で年収550万~620万円、課長職レベルで年収880万~930万円が目安。総合職と現業職の賃金テーブルが同一となっており、職位と年功序列に応じて昇給していく。
✔従業員数と勤続年数
スタンレー電気の単体従業員数は長期的な増加傾向が続いており、直近では3,900人ほどの組織規模。子会社や関連会社の従業員も含めた連結従業員数は1.67万人ほど。平均勤続年数は直近で15.8年と、大企業の標準的水準。
総合評価
企業格付け:CC
日系3大自動車ランプメーカーの一角。小糸製作所(トヨタ系)や市光工業(日産系)とは異なり、当社は特定自動車メーカーの系列に属してこなかった歴史的経緯からすべての日系自動車メーカーとの取引関係がある。が、2022年に本田技研工業と資本業務提携を開始しており、ホンダグループと関係を強化している状況にもある。業績は2017年〜2018年に利益がピークを迎えたが、同年以降は利益が伸び悩む。これには様々な要因が潜在しており、内部要因には過去の品質問題への補償費用の連続計上があるが、外部要因としての中国市場における日系自動車メーカーのシェア低下や世界的な原材料高による影響も重い。とはいえ、当社の強みは極めて堅実な財務基盤にあり、自己資本比率70%以上を安定確保したうえで実質無借金経営を達成している点にある。創業から100年近くに渡って事業継続してきた老舗企業だけあって、生き残り戦略には長けている。
就職格付け:CC
日本がまだ自動車をほとんど国産化できなかった戦前から自動車向けランプを製造してきた老舗。戦後に日系自動車メーカーがグローバル市場における存在感を飛躍的に高めたことで、当社もまたグローバル企業へと躍進。現在では日系3大ランプメーカーとして自動車部品業界ではよく知られた存在となっている。給与水準は業界中位クラスであり、平均年収は590万〜650万円ほどが定着。当社は総合職と現業職の賃金テーブルが同一となっており、30歳の総合職でも年収550万〜650万円ほど、課長職レベルで年収880万〜930万円が目安となる。年功序列色が強いため昇格ペースも若いうちは横並び傾向が強く、良くも悪くも差はつきにくい。独身者には借上げ社宅が自己負担1万円前後で与えられるため実際の生活水準は見た目の年収よりも高く保てるが、結婚後には家賃補助制度(月額2万円前後)へと移行するため負担感はやや高まる。