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【勝ち組?】コーセーの就職偏差値・難易度と平均年収【企業研究レポート】

企業概要

コーセーは、化粧品・コスメタリー製品などを販売する大手化粧品メーカー。1946年に小林孝三郎が化粧品メーカーとして創業。終戦直後から化粧品販売で成長を遂げ、1963年には世界大手の仏・ロレアルと提携してサロン事業を展開。1996年には仏・ロレアルと合意して日本ロレアルを分離独立させた。現在では百貨店・直営店向けの高級ラインから大衆向け低価格ラインまでのラインナップを網羅する大手化粧品メーカーとして君臨。創業から現在に至るまで創業家である小林家が経営を指揮し続ける同族企業でもある。

POINT

・化粧品業界で資生堂に続く2位、アジア圏における高いブランド力に強み
・売上高・利益いずれも中国不振で減退、財務体質は極めて良好
・総合職は平均年収778万円と業界上位級、福利厚生も良好

就職偏差値と難易度

✔就職偏差値:65(中堅上位)

サラリーマンの中堅上位クラスの待遇を得られ、世間的にも有名企業・大企業勤務として認知される。サラリーマンとして安定した人生が得られるが、入社するには人並み以上の努力が必要だろう。
詳細な企業分析は以下の業績動向社員の待遇を参照。本レポート末尾に総合評価を記す。

✔就職難易度:最難関級

総合職の採用実績は年間20名~30名と知名度の割には極めて少ないうえ、知名度も傑出して高いために採用倍率は高い。総合職の出身大学はハイレベル大学が殆どであるうえ、採用数の約半数が大学院卒である。
採用大学:【国公立】東京大学・大阪大学・東北大学・名古屋大学・筑波大学など、【私立】慶應義塾大学・早稲田大学・上智大学・青山学院大学・立命館大学・東京理科大学など(出典:マイナビ2025

業績動向

✔売上高と営業利益

コーセーの売上高は2018年の3,329億円をピークに停滞傾向*1、直近では3,004億円となっている。営業利益も2018年に524億円を記録したが、同年以降はピークアウトしている。
*1:2018年をピークに売上高が停滞している理由は、①COVID-19感染拡大期における化粧品需要の急減少した点、②リモートワークの普及による高所得層女性の化粧品使用頻度の低下、③長年に渡って成長を牽引してきた中国市場において原発処理水の海洋放出に伴う不買運動に直面した点、など。

✔セグメント別の状況

コーセーは、化粧品事業(高付加価値化粧品ブランドとして展開するコーセー・雪肌精・エスプリーク・コスメデコルテ・プレディアなど)、コスメタリー事業(量販店・ドラッグストアなど向けの化粧品・トイレタリー製品群として展開するヴィセ・ファシオ・メイクキープミスト・ネイルホリックなど)、その他事業(化粧品受注生産・アメニティ事業・不動産賃貸事業など)、の3事業を有する。
当社は売上高・利益いずれも化粧品事業に大部分を依存しており、同事業の看板商品である「雪肌精」や「コスメデコルテ」などは重要な収益源となってきた。とりわけ「雪肌精」は中国において高いブランド力を発揮、インバウンド爆買い消費の対象となっていた。

✔最終利益と利益率

コーセーの純利益は2018年に370億円に達したが、同年以降は減少傾向が続いている。直近4年は純利益100億円前後で推移しており、利益の再拡大を模索してる状況。営業利益率もピーク時には15.9%と高利益率を誇ったが、直近では5.32%程になっている*2。
*2:利益率が低下している要因は、高利益率を牽引していた中国・韓国市場における販売縮小が主要因。販売回復に向けたマーケティングコストの増加も利益率を下押ししている。

✔自己資本比率と純資産

コーセーの自己資本比率は2019年以降は70%前後の高水準で安定的に推移。有利子負債は直近で5億円(2023年)に過ぎず、実質無借金経営である。純資産は緩やかな増加傾向が続いており、直近では2,830億円に到達。

社員の待遇

✔平均年収と平均年齢

コーセーの平均年収は長期的に780万~850万円で安定的に推移。総合職の場合、30歳で年収550万~650万円、課長職レベルで年収980万~1,100万円が目安。販売職にあたるビューティーコンサルタント職は給与テーブルが異なる点には注意*3。平均年齢は若返り傾向が進んでおり、直近では40.2歳となっている。
*3:ビューティーコンサルタント職は加害者にあたるコーセー化粧品販売の所属となり、同社の給与テーブルが適用される。年収レンジは概ね300万〜400万円ほど。

✔従業員数と勤続年数

コーセーの単体従業員数は2018年を除けば長期的に800人〜1,000人ほどの組織体制。子会社や関連会社の従業員も含めた連結従業員数は8,000人ほど。平均勤続年数は低下傾向にあり直近で14.6年ほどだが、これは従業員の若返りに起因。

総合評価

企業格付け:CCC

資生堂に続く業界2位の大手化粧品メーカー。日本を代表する化粧品メーカーとしてアジア圏において高いブランド力を築いてきた歴史があり、2018年頃までは中国のインバウンド爆買い対象として名を馳せていた。が、2019年にはCOVID-19感染拡大による化粧品需要急減が直撃したうえ、2023年には原発処理水の海洋放出に伴う中国人の不買運動に直面。そのため、売上高・利益いずれもピークアウトした状態が続いている。2024年には大谷翔平選手を起用した広告施策により国内販売が伸びたが、中国市場における不振をV字回復させるほどの効果は得られず。とはいえ純利益100億円レベルは安定的に確保できているうえ、財務体質は自己資本比率70%以上かつ実質無借金経営と盤石の体制。全盛期の業績には届かないものの、そこそこの利益を安定的に稼ぎ続けられる優良企業であることには変わらない。

就職格付け:BB

給与水準においては平均年収788万円と業界上位級であり、同業の資生堂(平均年収740万円)とも遜色がない水準。総合職の場合、30歳で年収550万~650万円には到達し、課長職レベルで年収980万~1,100万円が目安となる。福利厚生もかなり恵まれており、若手社員は独身寮・借上げ社宅によって住宅コストの負担を大幅に軽減可能。自社商品の社割販売制度があるため、女性総合職にとってはかなり嬉しい。ただしいずれもコーセー本体の総合職における待遇もあり、販売職にあたるビューティーコンサルタント職は給与テーブル・福利厚生制度がいずれも異なってあるため注意されたい。全社員における中途採用比率が意外と高く、2023年時点では全社員の66%が中途入社組であった。

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出典:株式会社コーセー(有価証券報告書)