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【勝ち組?】エイチ・アイ・エスの就職偏差値・難易度と平均年収【企業研究レポート】

企業概要

エイチ・アイ・エス(略称:HIS)は、格安航空券・パッケージツアーなどを主力とする大手旅行会社。1980年に澤田秀雄が格安航空券の販売会社として創業。欧米で普及していた格安航空券を国内向けに販売することで海外旅行を手軽化。1989年には参加者1名から参加でき滞在行程をアレンジできるパッケージツアーを開始。1996年にはスカイマーク社を設立して航空業界へと参入。2010年には経営不振に陥っていたハウステンボスを買収して業績回復させた。現在では旅行業界大手6社に数えられ、海外57か国110都市143拠点に拠点を展開。

POINT

・格安航空券に強みをもつ大手旅行会社、非旅行分野への事業多角化にも積極的
・売上高・利益はCOVID-19の大打撃から回復途上、財務体質も回復途上
・平均年収443万円で業界上位クラス、従業員の平均年齢は若め

就職偏差値と難易度

✔就職偏差値:55(準中堅)

上場企業・著名企業に勤務するサラリーマンとして準中堅クラスの待遇を得られる。世間一般に見劣りすることのない、普通の人生を送ることができるだろう。
詳細な企業分析は以下の業績動向社員の待遇を参照。本レポート末尾に総合評価を記す。

✔就職難易度:やや難関

2017年までは年間700人規模の大量採用であったが、2024年は年間300名規模の採用となっている。旅行業界ではJTBに次ぐ人気があり、選考倍率は高めとなる。
採用大学:【国公立】信州大学・山梨大学・琉球大学・東京都立大学・新潟県立大学・群馬県立女子大学など、【私立】立教大学・青山学院大学・学習院大学・東洋大学・駒澤大学・成城大学・中京大学・関東学院大学・東北学院大学・産業能率大学・亜細亜大学・フェリス女学院大学・東京女子大学など(出典:マイナビ2026

業績動向

✔売上高と営業利益

エイチ・アイ・エスの売上高は2019年の8,085億円をピークに低迷傾向にあり、2021年には1,185億円まで激減*1。同年以降はやや回復傾向だが、2018年と比べると低空飛行が続く。営業利益は2021年に▲640億円まで悪化したのちマイナス圏での推移が続いたが、2023年に13億円に回復。
*1:当社の売上高が2021年に急落した理由は、COVID-19感染拡大による旅行需要の消失が主要因。2020年には緊急事態宣言が発出されたことで国内旅行・海外旅行の需要が激減、当社の業績に深刻な影響を及ぼした(当社は10月期決算であるため通年でCOVID-19影響が業績に表面化したのは2021年からである)。

✔セグメント別の状況

エイチ・アイ・エスは、旅行事業(国内旅行・海外旅行のパッケージツアー・格安航空券、団体旅行手配・観光地開発・地域創生支援など)、テーマパーク事業(ラグーナテンボスの運営)、ホテル事業(『変なホテル』『ウォーターマークホテル』などの運営)、九州産交事業(連結子会社・九州産業交通ホールディングス)、その他事業(エネルギー事業・損害保険事業など)、の5事業を有する。
当社は格安航空券から発展した旅行会社であり、現在でも旅行事業が売上高の約79%・利益の約44%を占めている。非旅行分野にも積極的に進出してきた歴史があり、スカイマーク社の設立(撤退)や九州産業交通グループの買収、ホテル『変なホテル』の展開などに参画してきた。

✔最終利益と利益率

エイチ・アイ・エスの純利益は2020年から赤字が続いており、2021年には▲500億円まで悪化。同年以降は回復傾向にあるが、2023年には▲26億円となっている。営業利益率は2021年には▲54%まで悪化したが、同年以降は回復傾向にある。

✔自己資本比率と純資産

エイチ・アイ・エスの自己資本比率は2021年に9.9%まで低下しており、2023年には11.1%となっている。低利益率が続く状況において負債依存度が高く、財務体質は弱め*2。純資産は2019年に1,239億円にまで到達したが、同年以降の業績悪化により急減。2023年には純資産581億円となっている。
*2:当社は2021年に純損失▲500億円を計上したことで純資産が急減。2020年に第三者割当増資で222億円を調達(参考リンク)、2021年には第三者割当増資により215億円を調達(参考リンク)した他、本社ビルのフロア売却により325億円を調達した(参考リンク)。

社員の待遇

✔平均年収と平均年齢

エイチ・アイ・エスの平均年収は2021年に367万円まで低下したが、同年を除けば410万円~500万円ほどで推移している。大卒総合職の場合、30歳で年収400万~500万円ほど、課長職レベルで年収600万~750万円が目安。平均年齢は37.8歳(2023年)と大企業の標準的水準よりも若め。

✔従業員数と勤続年数

エイチ・アイ・エスの単体従業員数は2020年に5,896人に到達したが、2021年には4,078人まで急減。同年以降は4,000人前後での推移が続いている。子会社や関連会社の従業員も含めた連結従業員数は1.01万人ほどの大所帯である。平均勤続年数は16.4年(2023年)と大企業の標準的水準をやや上回る。

総合評価

企業格付け:C

日本に格安航空券という概念を普及させ、1980年代以降の海外旅行ブームを支えた旅行業界の大手企業。非旅行分野にも積極的に進出を模索してきた歴史があり、1996年にはスカイマークを設立して航空業界へと参入、2012年には熊本最大のバス会社である九州産交HDを買収、2015年からは『変なホテル』でホテル事業を拡大するなど、旅行会社の枠に留まらない挑戦を続けてきた。業績においてはCOVID-19感染拡大期に売上高・利益が急落、2021年には純損失500億円を計上する状況に陥った。2022年以降は旅行需要の回復によって業績は回復傾向にあるが、2023年にも営業利益率0.55%と苦戦が続く。財務体質においても2021年に自己資本比率9.9%までの下落を経験、複数回に渡る第三者割当増資によって耐え凌いだ。とはいえ、2024年にはCOVID-19影響が終結したことで最悪期は脱しており、一定の業績回復を見込めるだろう。

就職格付け:C

現在では旅行業界大手6社に数えられる企業であり、海外57か国110都市143拠点に拠点を展開する。就職人気ランキングでも上位クラスに食い込んでおり、一般知名度も大いに高いと評価できよう。給与水準においては平均年収443万円(2023年)だが、これは平均年齢37.8歳(2023年)とかなり若めの企業であるため、他社比較の際にはもう少し高めに見ても良いだろう。総合職の場合、30歳で年収400万~500万円ほど、課長職レベルで年収600万~750万円には到達でき、旅行業界としては上位クラスの待遇であろう。福利厚生においては住宅補助が2.5万円/月、家族手当が扶養家族1名につき1.5万円/月となっている他、自社の旅行商品を割引価格で購入することができる。強いて言えば通勤手当が月額5万円が上限となるため、会社から遠方に居住しすぎると自己負担が発生するのには注意を要する。総じて、旅行業界としては上位クラスの待遇である。

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出典:株式会社エイチ・アイ・エス(有価証券報告書)