本レポートでは、印象論ではなく、データから就職偏差値と格付を評価しています。レポート末尾で、最終結論とその根拠を提示します。
企業概要
アコムは、カードローン・クレジットカード・信用保証・債権回収などを主力とする三菱UFJグループの消費者金融会社。1936年に木下政雄が呉服店として兵庫県・神戸市で創業。1948年には質屋業へと進出し、繊維・金融を2本柱とした。1960年からは大量消費社会の到来を受けて、サラリーマン向けの信用融資を開始。1979年には24時間・無人営業のATMを導入し、気軽に融資を受けられる体制を整えた。1993年には人の目を気にせず非対面契約ができる自動契約機『むじんくん』を導入。2006年にはグレーゾーン金利が事実上禁止されると相次ぐ過払い金返還請求によって経営危機に陥ったが、2008年に三菱UFJグループ入りして再建を果たした。現在では、カードローン事業を主力としながら、銀行向け信用保証事業や海外金融事業も展開する国内最大級の消費者金融会社として知られる。
就職偏差値と難易度
✔就職偏差値:57(中堅)
消費者金融業界におけるトップ企業の一角であり、安定した高利益率が強み。過去のグレーゾーン金利問題による世間体の悪化からは回復途上にあり、穴場感が強い。
詳細な企業分析は以下の業績動向・社員の待遇を参照。本レポート末尾に総合評価を記す。
✔就職難易度:中難易度
総合職の採用人数は年間50人~60人と企業規模なり。業績と待遇は良好であり、財務健全化も着実に進んでいる。消費者金融業界の人気が低いため、実利を考えればかなりの狙い目。
採用大学:【国公立】北海道大学・横浜国立大学・和歌山大学・佐賀大学・奈良県立大学・高崎経済大学など、【私立】上智大学・明治大学・中央大学・同志社大学・立命館大学・日本大学・駒澤大学・近畿大学・獨協大学・桃山学院大学・国士舘大学・東京電機大学・大阪商業大学など(出典:マイナビ2028)
業績動向
✔営業収益と営業利益
アコムの営業収益は2023年まで2,400億〜2,700億円レベルで推移していたが、同年以降は増加傾向に転換*1。2025年には営業収益3,177億円に到達している。営業利益は2022年のみ347億円に下落したが、同年を除けば570億〜980億円ほどで推移している。
*1:2025年に営業収益が増加した理由は、①景気回復・物価高騰によるカードローンの借入残高の増加、②効率的マーケティングによる新規顧客の獲得増加、③タイなどにおける海外事業の拡大および為替レートの円安推移による為替効果、など。
✔セグメント別の状況
アコムは、ローン・クレジットカード事業(カードローン・クレジットカードなど)、信用保証事業(提携金融機関向けの債務保証)、海外金融事業(タイ・マレーシア・フィリピンにおける無担保ローン・信用購入あっせんなど)、債権管理回収事業(金融機関からの債権買取・管理・回収)、その他事業、の5事業を有する。
当社の事業構造は、カードローン事業を中核として、信用保証・クレジットカード・債権管理回収などを組み合わせた消費者金融会社として成立している。主力のカードローン事業では、テレビCM・Web広告で個人顧客を集客し、無担保融資を通じて貸付残高に応じた利息収入を得る。担保・保証人を必要としない代わりに、最大で年率17.9%という高金利で貸し出すほか、返済期間が長期化しやすいリボルビング方式によって継続的な利息収入を得ることができる。貸し倒れとなるリスクを抑えるため、長年蓄積した顧客データと審査ノウハウを活用して貸付金額を決定している。更に、信用保証事業では、この貸付ノウハウを応用して、三菱UFJ銀行をはじめとする提携金融機関のカードローンに対して信用保証を提供し、保証残高に応じた保証料収入を得ている。
✔最終利益と利益率
アコムの純利益は370億〜780億円ほどで長期的に推移しているが、2025年は321億円にやや後退*2。2011年には巨額損失を計上した過去もある*3。営業利益率は2022年を除けば18%〜37%で長期的に推移しており、金融業界としてもかなりの高利益率である。
*2:2025年に純利益が減少した理由は、グレーゾーン金利問題に関わる利息返還請求額として約400億円を追加計上したことが主要因。
*3:2011年にはグレーゾーン金利問題が表面化したことで、純損失▲2,026億円を計上した経緯がある。グレーゾーン金利とは、かつて利息制限法の上限金利(15~20%)と出資法の上限金利(29.2%)の間にあたる金利帯を指す。2006年の最高裁判決や貸金業法改正を契機として撤廃され、当社は過去に受け取った超過利息の返還請求(過払い金請求)に対応するため、多額の利息返還損失引当金を計上した。
✔自己資本比率と純資産
アコムの自己資本比率は2018年から増加傾向が続いており、2025年は44.0%となっている。2011年には巨額損失の計上によって18.2%まで低落したが、10年以上をかけて健全化を果たした。純資産は右肩上がりの増加傾向が続いており、2025年は7,090億円に到達している。
社員の待遇
✔平均年収と平均年齢
アコムの平均年収は590万〜630万円ほどで推移しており、2025年には690万円に上振れしている。金融業界としては中庸な水準であるが、さすがにメガバンクや総合証券会社には及ばない*4。総合職の場合、30歳で年収490万~590万円ほど、課長職レベルで830万~900万円ほどに達する。
*4:当社はコールセンター窓口業務を主とする業務職(いわゆる一般職)を大量に採用している。給与水準が総合職よりも低い業務職が多く在籍するために平均年収が低くなりやすい。
✔従業員数と勤続年数
アコムの単体従業員数は1,930人〜2,100人ほどで推移している。2020年には2,112人に達したが、同年以降は横ばい傾向が強い。子会社や関連会社の従業員も含めた連結従業員数は5,626人ほど。平均勤続年数は14年~15年で長期的に推移しており、金融業界としてはかなり長めの水準。
上記の公開データを総合的に踏まえた、企業としての実力値と就職先としての評価を、以下に最終的な評価結論として整理します。
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