企業概要
しまむらは、女性衣料品・ファミリー衣料品・インテリア・雑貨を主力とする大手アパレル会社。1923年に埼玉県で個人呉服店として創業。1950年代に呉服店から総合衣料品店への業態転換。1970年代から商品管理のデータベース化や物流合理化を推し進め、1990年代には日本全国への出店を達成。20代〜60代女性とその家族をメインターゲットとした商品展開によって事業規模の拡大に成功した。現在では国内2,200店舗を展開、ファーストリテイリングに続くアパレル業界2位の規模を誇る。
・アパレル業界2位の業界大手、女性衣料品とファミリー衣料品に強い
・売上高・利益は過去最高圏で推移、無借金経営で財務体質も盤石
・平均年収689万円と業界トップクラス、福利厚生も優れる
就職偏差値と難易度
✔就職偏差値:61(中堅上位)
サラリーマンの中堅上位クラスの待遇を得られ、世間的にも有名企業・大企業勤務として認知される。サラリーマンとして安定した人生が得られるが、入社するには人並み以上の努力が必要だろう。
詳細な企業分析は以下の業績動向・社員の待遇を参照。本レポート末尾に総合評価を記す。
✔就職難易度:中難易度
総合職の採用人数は年間70人~90人と多めだが、年度によっては30名規模まで急減することも。アルバイトの正社員登用にも積極的であり、店長クラスの約80%はアルバイトからの叩き上げである。
採用大学:【国公立】埼玉大学・三重大学・福井大学・島根大学・小樽商科大学・県立広島大学など、【私立】中央大学・青山学院大学・立命館大学・駒澤大学・獨協大学・成蹊大学・東京経済大学・同志社女子大学など(出典:マイナビ2026)
業績動向
✔売上高と営業利益
しまむらの売上高は2019年まで減少傾向にあったが、同年を底にV字回復。2023年には過去最高となる6,350億円に到達*1。営業利益も2019年まで減少傾向にあったが、2023年には過去最高となる553億円に到達*2。
*1:2023年の業績好調の理由は、①世界的な物価上昇で割安感が強い当社の魅力が高まったこと、②若者層向けのマーケティングと商品投入スパンの短期化、など。
*2:2023年は世界的な原材料価格の高騰によりコスト増加に見舞われたが、商品単価の見直しとコストコントロールによって増益で着地。
✔セグメント別の状況
しまむらは、日本事業(日本国内における「しまむら」「アベイル」「バースデイ」「シャンブル」「ディバロ」による衣料・雑貨・靴などの販売)、海外事業(台湾における「思夢樂」による衣料品・寝具・インテリアなどの販売)、の2事業を有する。
当社は日本と台湾において事業展開をしているが、日本事業に売上の約98%を依存している。当社を代表する「しまむら」以外にも複数の店舗ブランドを保有しており、特に「アベイル」や「バースデイ」は店舗数も多く有名。
✔最終利益と利益率
しまむらの純利益は2019年まで減少傾向にあったが、同年を底にV字回復。2023年には過去最高となる純利益400億円に到達。営業利益率は4%~8%ほどで推移しており、アパレル会社としては優良な水準。
✔自己資本比率と純資産
しまむらの自己資本比率は85%~90%の超高水準で安定。有利子負債は限りなくゼロに近い状態を保っており、無借金経営を達成している。純資産も増加傾向が続いており、2023年には4,714億円に到達している。
社員の待遇
✔平均年収と平均年齢
しまむらの平均年収は2021年まで590万円ほどで横ばいであったが、同年以降は640万〜690万円のレンジに上昇。総合職は30歳で年収550万〜600万円ほど、課長職レベルで750万〜850万円ほど。アパレル業界してはトップクラスの給与水準となっている。
✔従業員数と勤続年数
しまむらの単体従業員数は長期的な微増傾向が続いており、直近の2023年には2,700人ほどの組織体制となっている。子会社や関連会社の従業員も含めた連結従業員数は3,100人ほど。平均勤続年数は直近で17年とアパレル業界としてはトップクラスの水準。
総合評価
企業格付け:CC
世間一般では低価格帯の婦人衣料品店というイメージが強いが、実はアパレル業界においてファーストリテイリングに続く業界2位に位置する大手企業。自社開発製品を主力とするファーストリテイリングに対して、当社は他社から商品を仕入れて販売するセレクトショップ形態が主。業績は2019年まで売上高・利益の減少が見られたが、同年を底にV字回復。2023年には過去最高となる売上高・純利益を記録するなど絶好調である。この理由は、①世界的な物価上昇で割安感が強い当社の魅力が高まったこと、②若者層向けのマーケティングと商品投入スパンの短期化、など。財務体質は業界屈指の健全さを誇っており、自己資本比率は85%以上で安定推移している。実質無借金経営も達成しており、倒産リスクとは当面無縁な状態にある。
就職格付け:CC
日本全国に遍く普及した衣料品チェーンとして知られ、ファミリー層を中心に盤石の顧客基盤を有するアパレル企業。給与水準については平均年収640万〜690万円で推移しており、アパレル業界としてはトップクラスの待遇である。総合職であれば30歳で年収520万〜600万円ほど、課長職レベルで年収750万〜850万円に到達する。総合職は入社2年目から店長として店舗運営の経験を蓄積できる他、本人が望めばバイヤーをはじめとする本社部門への異動も可能。当社は同業他社よりもバイヤーの権限が強く、担当者レベルでも商品買付の権限が明確に与えられるためバイヤー志望者には魅力的な環境でもある。福利厚生もアパレル業界としてはトップクラスであり、転勤者には住宅補助として月額4万〜8万円が付与されるうえ帰省費用も補助される。従業員割引は勿論、退職金制度・財形貯蓄制度・持株会制度がすべて揃っている。総じて、アパレル業界としてはトップクラスに恵まれた待遇かつ業績・財務も安定している優良企業。とりわけ平均勤続年数17年という数字はアパレル業界の企業として傑出した水準にあり、従業員の定着のよさを象徴している。