本レポートでは、印象論ではなく、データから就職偏差値と格付を評価しています。レポート末尾で、最終結論とその根拠を提示します。
企業概要
ヱスビー食品は、香辛料・カレー・即席調味料を主力とする食品メーカー。1923年に山崎峯次郎が国産初となるカレー粉の製造に成功したことで創業。1930年には『ヒドリ印カレー粉』を発売し、太陽(Sun)と鳥(Bird)の頭文字からS&Bロゴを冠した。1950年代には即席カレーを発売し、家庭用カレー市場での認知度を更に高めた。1970年代にはチューブ入りからしを発売し、わさび・しょうが・にんにくなどを手軽化した。現在では、『スパイス&ハーブ』分野を事業の中核に据えながら、カレー粉・カレールウ・レトルトカレー、チューブ入り香辛料、即席調味料まで幅広く展開する国内有数の香辛料・加工食品メーカーとしての地位を確立。カレー粉では国内シェアの70%以上を占め、唐辛子・チューブ入り香辛料でも国内シェアの50%を有する。
就職偏差値と難易度
✔就職偏差値:59(中堅)
カレー・香辛料における高い一般知名度に加えて、景気後退局面における業績安定性が強み。給与水準は大手食品メーカーに及ばないが、安定性を含めた総合力は高い。
詳細な企業分析は以下の業績動向・社員の待遇を参照。本レポート末尾に総合評価を記す。
✔就職難易度:やや難関
総合職の採用数は年間20人~40人ほど。食品業界において高い一般知名度を誇り、選考倍率は高くなりやすい。ただし、ハイレベル大学に偏重せず、中堅大学からも幅広く採用している。
採用大学:【国公立】東北大学・北海道大学・神戸大学・静岡大学・信州大学・岐阜大学・山形大学・琉球大学・東京農工大学など、【私立】明治大学・立教大学・青山学院大学・同志社大学・関西大学・日本大学・成蹊大学・甲南大学・龍谷大学・西南学院大学・産業能率大学・東京理科大学・芝浦工業大学など(出典:マイナビ2028)
業績動向
✔売上高と営業利益
ヱスビー食品の売上高は2019年に過去最高となる1,451億円に到達したが、2020年以降は1,120億~1,260億円ほどのレンジで推移している*1。営業利益は過去8年間に渡って53億~94億円ほどで推移している。景気後退局面にも業績が左右されにくい特徴がある。
*1:2020年に売上高が急減した理由は、会計基準の変更が主要因。同年から「収益認識に関する会計基準(企業会計基準第29号)」を適用したことで、売上高が急減した経緯がある。
*2:当社の営業利益が安定している理由は、当社の主力商品がいずれも家庭内調理で反復的に使用される商品群であり、景気動向に関わらず需要が安定しているためである。加えて、長年にわたるブランド認知・定番性を確立しているため、コストが上昇した局面でも、価格改定によって影響を吸収しやすい。
✔セグメント別の状況
ヱスビー食品は、スパイス&ハーブ事業(スパイス・シーズニング・カレー粉・胡椒・唐辛子・岩塩など)、即席事業(カレールウ、シチュールウなど)、香辛調味料事業(わさび・しょうが・ラー油など)、インスタント食品事業(レトルトカレー・パスタソースなど)、の4事業を有する。
当社の事業構造は、香辛料を起点としながら、カレー・チューブ入り香辛料・レトルト食品・即席調味料へと事業多角化することで成立している。最大の特徴は、スパイス原料の調達・開発・生産・品質管理までを一体で運営している点にある。香辛料は、原料そのものの産地・収穫時期、乾燥・粉砕・配合の違いによって風味が大きく変化するため、高度なノウハウが問われる。当社は、創業から100年以上に渡って香辛料のノウハウを積み重ねてきたことで、風味・香り・辛味を巧みに配合している。また、香辛料は日常の食卓で反復的に使用されるため、長年に渡るブランドへの信頼・認知度そのものが競争力の源泉となっている。この点、カレー・香辛料・レトルト食品・即席調味料においてロングセラー商品を複数保有しており、スパイスの技術的蓄積とブランド資産の双方に強みがある。
✔最終利益と利益率
ヱスビー食品の純利益は2023年のみ一時下落した*3が、同年を除けば緩やかな増加傾向にある。2025年には過去最高となる純利益75億円に到達している。営業利益率は過去8年間に渡って4%~8%ほどで推移しており、食品メーカーとしては良好な水準にある。
*3:2023年に純利益が減少した理由は、原材料価格・エネルギー価格・円安による急速なコスト上昇に対して価格改定が遅れた点に理由がある。つまり、需要減少・販売不振による減益ではなく、コスト上昇と価格改定の時間差によって利益率が一時的に圧迫されたものと捉えるべきである。
✔自己資本比率と純資産
ヱスビー食品の自己資本比率は2020年まで40%前後で推移していたが、同年以降は増加傾向。2025年には自己資本比率58.6%に到達している。負債に依存しすぎない事業運営ができており、財務健全性は安定的である。純資産は過去8年間に渡って増加傾向が続いており、2025年には802億円に到達している。
社員の待遇
✔平均年収と平均年齢
ヱスビー食品の平均年収は2023年まで560万~575万円ほどで推移していたが、2025年には676万円に上振れしている。総合職の場合、30歳で年収550万~600万円ほど、課長職レベルで年収880万~950万円が目安。平均年齢は41.2歳(2025年)と大手企業の標準的な水準よりも僅かに若い。
✔従業員数と勤続年数
ヱスビー食品の単体従業員数は、長期的に1,320人〜1,530人ほどで推移している。子会社や関連会社の従業員も含めた連結従業員数は2,058人ほど。平均勤続年数は13.7年(2025年)と大手企業の標準的な水準よりも僅かに短い。
上記の公開データを総合的に踏まえた、企業としての実力値と就職先としての評価を、以下に最終的な評価結論として整理します。
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