本レポートでは、印象論ではなく、データから就職偏差値と格付を評価しています。レポート末尾で、最終結論とその根拠を提示します。
企業概要
名古屋鉄道は、愛知県・岐阜県を中心とする在来線網を運営する大手鉄道会社。1894年に名古屋駅と市街地を結ぶ馬車鉄道会社として創業。1896年には名古屋電気鉄道へ社名変更し、馬車鉄道から電気鉄道へと転換。1910年代には犬山・岩倉・笹島エリアへ路線網を伸ばし、名古屋の交通近代化を支えた。1940年代には戦時統制によって三河鉄道・知多鉄道などを統合、愛知・岐阜に跨る路線網を構築した。1950年代からは百貨店・スーパー・バス・不動産などへ事業領域を拡大。1960年代には前面展望席を備えた『パノラマカー』を投入し、博物館明治村を開業するなど観光・レジャーにも注力。2005年には中部国際空港の開港にあわせて、専用特急『ミュースカイ』を投入。現在では、愛知県・岐阜県を網羅する路線網444km・275駅を擁し、私鉄最大級の路線網を持つ。鉄道を中核に、バス・タクシー・物流・不動産・ホテル・レジャーなど幅広い事業を展開しており、東海地方を代表する総合交通・生活サービス企業として認知される。
就職偏差値と難易度
✔就職偏差値:65(中堅上位)
私鉄会社としては全国でも上位レベルの事業規模を誇る業界大手。名古屋圏では地元の名門企業として高い知名度・ブランド力を誇るが、給与水準はそれほど傑出しない。
詳細な企業分析は以下の業績動向・社員の待遇を参照。本レポート末尾に総合評価を記す。
■66→65に改定:同ランク企業との待遇差の拡大を再評価。1ノッチ格下げとした(2026年8月)
✔就職難易度:総合職=難関上位級、鉄道運輸職=難関
総合職の採用数は年間30人~40人に過ぎず、企業規模の割には少ない。名古屋圏においてはトップクラスの高い人気を誇る。鉄道会社の例に漏れず、難易度は相当に高い。
採用大学:【国公立】東京大学・名古屋大学・東北大学・神戸大学・名古屋工業大学・岐阜大学・三重大学・一橋大学・東京外国語大学など、【私立】慶應義塾大学・早稲田大学・上智大学・立教大学・青山学院大学・同志社大学・関西学院大学・名城大学・愛知大学・金城学院大学など(出典:マイナビ2028)
業績動向
✔売上高と営業利益
名古屋鉄道の売上高は2021年に4,816億円まで急落した*1が、同年以降は増加傾向が続いている。2025年には売上高6,907億円に上振れ。営業利益は2021年に▲163億円まで急落したが、同年以降は回復傾向。2025年には営業利益420億円に回復したが、2020年以前の水準には戻っていない。
*1:2021年に売上高・営業利益が急落した理由は、COVID-19感染拡大による外出自粛が主要因。外出自粛とリモートワークの普及により鉄道需要が激減したうえ、グループ会社のタクシー・バス・ホテルなども軒並み大打撃を受けた経緯がある。
✔セグメント別の状況
名古屋鉄道は、交通事業(鉄道・乗合バス・観光バス・タクシーなど)、運送事業(トラック輸送・太平洋フェリーなど)、不動産事業(不動産の分譲・賃貸・管理など)、レジャー事業(ホテル・レストラン・観光施設・旅行業・広告代理店など)、流通事業(百貨店・石油販売・商品販売)、航空関連事業(ヘリコプター事業・機内食の調製)、その他事業(設備保守・情報処理など)、の7事業を有する。
当社の事業構造は、鉄道事業を中核としながら、バス・タクシー・物流・不動産・流通・ホテル・レジャーなどを幅広く展開する総合交通・生活サービス企業として成立している。主力の鉄道事業においては名古屋都市圏の通勤・通学需要に加えて、中部国際空港へのアクセス需要も取り込んでいる。ただし、東海地方は人口減少や車社会という事業環境にあり、鉄道単体での成長には限界がある。このため、沿線人口や交流人口を増やしながら鉄道利用そのものを創出する「沿線開発型」の事業構造を強化している。特に重要なのが不動産事業であり、駅周辺の商業施設・オフィス・住宅開発などを通じて高い利益率を確保している。また、不動産事業は単独で利益を稼ぐだけでなく、駅周辺への居住人口・就業人口を増やすことで鉄道利用を生み出す役割も持つ。加えて、名鉄グループとして事業多角化を推進しており、バス・タクシー・物流・観光・レジャーなどを幅広く展開する。
✔最終利益と利益率
名古屋鉄道の純利益は2020年まで280億~305億円で安定していたが、2021年に▲287億円に転落。同年以降は回復基調が続いており、2025年には過去最高となる純利益377億円に到達*2。営業利益率は2020年までは7%レベルで推移していたが、2025年は6.09%に留まる。
*2:2025年に純利益が増加した理由は、①株式売却による有価証券売却益62億円の計上、②負ののれん発生益48億円の計上、③運賃改定や輸送人員増加による交通事業の収益改善、など。
✔自己資本比率と純資産
名古屋鉄道の自己資本比率は30%台で長期的に推移している。自己資本比率はやや低めの印象だが、これは鉄道会社に特有の事情による*3。純資産は2023年まで3,890億~4,380億円で推移していたが、2025年には4,983億円に増加している。
*3:鉄道会社は鉄道車両や線路の維持管理に膨大な設備投資資金を要する特性があり、自己資本比率は他業界と比べて低めとなる特徴がある。ただし、安定したキャッシュフローが得られる業態であるため自己資本比率がやや低めであったとしても大きな問題とはならない。
社員の待遇
✔平均年収と平均年齢
名古屋鉄道の平均年収は600万円前後で推移しているが、2022年には576万円まで後退している。総合職の場合、30歳で年収450万~550万円ほど*4、課長職レベルで年収880万~900万円ほど*5。世間が思うほど給与水準は高くはない。平均年齢は44.6歳(2025年)と大手企業の標準的な水準を上回る。
*4:2025年から大卒初任給を23万円から30万円に引き上げることを発表(参考リンク)。収入が伸びるようにも思えるが、同時に賞与が廃止されているため、初年度の年収は360万円と変化していない。
*5:当社の職種には、総合職・運輸技術職の2種類がある。各職種ごとに昇進・待遇にも大きな違いがあり、総合職は昇進・昇給のスピードが速い。
✔従業員数と勤続年数
名古屋鉄道の従業員数は4,980人~5,185人レベルで安定的に推移している。COVID-19以降の業績悪化においても、従業員数の削減は実施されていない。子会社や関連会社の従業員も含めた連結従業員数は3.1万人ほど。平均勤続年数は23.7年(2025年)と、従業員の定着は極めて良好。
上記の公開データを総合的に踏まえた、企業としての実力値と就職先としての評価を、以下に最終的な評価結論として整理します。
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