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建設

【勝ち組?】竹中工務店の就職偏差値・難易度と平均年収【企業研究レポート】

企業概要

竹中工務店は、高層ビル・商業施設・神社仏閣などの大規模土木・建設工事を主力とする大手総合建設会社。1610年に竹中藤兵衛正高が名古屋で神社仏閣の建設組織として創業。1909年には神戸へと本拠地を移転、戦前から明治生命館や髙島屋・京都店などを建設した。終戦後には建設ブームを追い風に、全国各地でビル・商業施設・工場・球場・神社仏閣などを建設。自社の建築物を『作品』と呼ぶ『作品主義』でも知られ、数多くの建築家を輩出してきた名門でもある。

POINT

・スーパーゼネコンで唯一の非上場企業、作品主義で数々の名建築物を建設
・売上高は増加傾向だが利益はコスト高によって苦戦気味、財務体質は良好
・平均年収1,032万円で福利厚生も良いが、全国転勤への覚悟は必要

就職偏差値と難易度

✔就職偏差値:71(最上位)

日本社会におけるサラリーマンの最上位クラスの待遇を得られる。勝ち組サラリーマンとして胸を張れる人生が得られるが、入社するには相当以上の能力もしくは運が必要。
詳細な企業分析は以下の業績動向社員の待遇を参照。本レポート末尾に総合評価を記す。

✔就職難易度:難関

総合職の採用人数は年間200人前後と多いが、うち事務系総合職は40名ほど。技術系採用では幅広い大学から採用しているが、事務系採用ではハイレベル大学からの採用が主。
採用大学:【国公立】京都大学・大阪大学・名古屋大学・筑波大学・広島大学・金沢大学・横浜国立大学・大阪公立大学・京都工芸繊維大学など、【私立】慶應義塾大学・早稲田大学・同志社大学・青山学院大学・立命館大学・東京理科大学・芝浦工業大学など(出典:マイナビ2027

業績動向

✔売上高と営業利益

竹中工務店の売上高は2021年までは1.2兆~1.3兆円で推移していたが、同年以降は増加傾向*1。2023年には売上高1.61兆円に到達している1。営業利益は2019年まで800億~1,080億円ほどで推移していたが、2020年からは280億~530億円に後退*2。
*1:2022年から売上高が増加した理由は、①国内景気の好調による建設需要の拡大、②原材料価格・労務費の上昇による受注価格の高止まり、など。
*2:2020年から営業利益が縮小した原因は、①世界的な原材料価格の高騰による建設コスト高騰の価格転嫁の遅れ、②東京オリンピック後に受注した低採算工事のコスト負け、など。

✔セグメント別の状況

竹中工務店は、国内建設事業(ビル・商業施設・物流施設・工場・ホテルなどの建築事業、トンネル・橋梁・ダムなどの土木事業)、海外建設事業(欧州・アジア・アメリカにおける事業展開)、開発事業(官民連携による不動産開発・公共サービス提供、複合都市開発プロジェクトなど)、その他事業(不動産管理事業・保険代理店事業など)、の4事業を有する。
当社は国内建設事業が売上高の約77%を占めており、良くも悪くも日本国内における建設需要が業績を左右する構造。海外売上高比率は約15%ほどに留まるが、アジア・欧州地域を中心として世界22ヵ国で事業を展開している(参考リンク)。

✔最終利益と利益率

竹中工務店の純利益は2019年まで630億~750億円ほどで推移していたが、2020年からは300億~370億円に後退。2024年のみ純利益561億円にやや上振れ。営業利益率は2019年まで5%~8%ほどで推移していたが、同年以降は2%~3%ほどに後退。

✔自己資本比率と純資産

竹中工務店の自己資本比率は直近で51.9%(2024年)とかなりの高水準であり、安定的な利益体質もあわせて考えれば堅実な財務体質と評価できる。純資産は過去8年間に渡って増加基調を維持しており、2024年には1.09兆円に到達している。

社員の待遇

✔平均年収と平均年齢

竹中工務店の平均年収は980万~1,040万円前後で安定的に推移している。総合職であれば30歳で年収700万~800万円ほど、課長職レベルで年収1,200万~1,400万円に達する。ただし、長時間勤務・単身赴任が多いために手当による年収底上げが大きい点には注意が必要。

✔従業員数と勤続年数

竹中工務店の単体従業員数は過去8年間に渡って緩やかな増加傾向にあり、2024年には7,800人ほどの組織体制となっている。子会社・関係会社を含めた連結従業員数は1.35万人ほど。平均勤続年数は18年~19年前後とかなり長めの水準にあり、従業員の定着はかなり良好。

総合評価

企業格付け:A

■業界ポジション
建設業界のトップ企業群たる大手スーパーゼネコン5社の一角であり、創業400年以上の歴史を誇る名門。スーパーゼネコン5社のなかでも売上高は最下位であるが、当社は同5社で唯一の非上場企業であるがゆえに短期的な業績を追い求める必要性が薄い特殊性がある。

■業績動向
売上高は増加傾向にあるが利益は伸び悩む状況。COVID-19以降における建設需要の拡大によって旺盛な引合いが続いているが、原材料価格・労務費が想定を上回るハイペースで高騰し続けていることが利益を圧迫している。建設業界では人手不足がますます深刻化している状況もあり、当面に渡ってはコスト高が当社の利益を圧迫すると想定される。

■財務体質
良好。自己資本比率51.9%(2024年)と負債に依存しすぎない事業運営ができており、財務規律はかなり保守的。有利子負債は810億円(2024年)に過ぎない一方、手元の現預金は2,501億円(2024年)と相当以上に潤沢である。

就職格付け:AA

■給与水準
平均年収1,032万円(2024年)と建設業界トップクラス、他のスーパーゼネコンにも決して見劣りしない。総合職であれば30歳で年収700万~800万円ほど、課長職レベルで年収1,200万~1,400万円に達する。かつては残業時間が長時間に及ぶことも珍しくはなかったが、最近では働き方改革によって残業時間は縮小ぎみ。

■福利厚生
良い。転勤者には原則として社宅・独身寮が与えられるため住宅コストの負担は少ない。かつては残業時間が長時間に及ぶことも珍しくはなかったが、最近では働き方改革によって平均残業時間は月22.1時間(2024年)まで縮小。年間休日日数は125日以上となっており休みもかなり多い。

■キャリア
事務系総合職・技術系総合職の2職種制。事務系総合職は営業・資材調達・経理・人事・総務・法務などに従事し、技術系総合職は建築設計・構造設計・技術開発・ITなどに従事する。総合職の場合は30歳前後で主任クラスとなり、35歳以降には専任課長・エキスパートへと昇格する。総合職の場合、大手建設会社の宿命として全国転勤は覚悟しておきたい。

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出典:株式会社竹中工務店(有価証券報告書)