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鉄道

【勝ち組?】東急の就職偏差値・難易度と平均年収【企業研究レポート】

企業概要

東急は、関東地方・東北地方・北陸地方など東日本エリアにおいて在来線・新幹線を運営する大手鉄道会社。1918年に渋沢栄一らが宅地開発会社として創設。戦前から鉄道と不動産を一体とした事業展開を進め、1923年には目黒~丸子間で鉄道を開通、1934年には東横百貨店を渋谷にオープン。戦後には多摩田園都市開発事業により溝の口~中央林間エリアを開発。現在においても創業以来の鉄道・不動産・小売・ホテルを一体とした開発事業をコアとし、2030年を見据えた渋谷大規模再開発を主導。

POINT

・不動産開発が主力の大手私鉄、私鉄トップ2社の一角で渋谷地盤
・売上高・利益は安定的だがCOVID-19は打撃に、財務体質まずまず
・平均年収776万円とイメージほど良くない、入社難易度も高くコスパ微妙

就職偏差値と難易度

✔就職偏差値:70(最上位)

総合職:日本社会におけるサラリーマンの最上位クラスの待遇を得られる。勝ち組サラリーマンとして胸を張れる人生が得られるが、入社するには相当以上の能力もしくは運が必要。
詳細な企業分析は以下の業績動向社員の待遇を参照。本レポート末尾に総合評価を記す。

✔就職難易度:最難関級

総合職の採用数は年間15人~30人前後と極めて狭き門。そのうえ企業イメージの良さから応募者も多いがゆえに選考倍率は相当以上に高くなるため滑り止めとなる他社併願をしっかりしておきたい。
採用大学:【国公立】東京大学・東京工業大学・東京外国語大学・東北大学・九州大学など、【私立】慶應義塾大学・早稲田大学・上智大学・立教大学・東京理科大学など(出典:Unistyle

業績動向

✔売上高と営業利益

東急の売上高は平常時においては1兆円前後で推移しているが、2021年には0.87兆円までの急減を経験*1。営業利益は2020年に営業損失316億円という赤字転落を経験したが、平常時には営業利益300億~950億円ほどで推移している。
*1:東急はCOVID-19感染拡大で打撃を被った1社。COVID-19感染を恐れた外出自粛によって鉄道・バスの採算が急激に悪化したうえ、ホテル・小売店なども減収減益に陥った経緯がある。2022年以降は感染拡大の終息によって回復傾向へと転換。

✔セグメント別の状況

東急は交通事業(東急電鉄・伊豆急行・上田電鉄、東急バス・網走交通、仙台国際空港など)、不動産事業(不動産販売・不動産賃貸・不動産管理など)、生活サービス事業(東急百貨店・東急ストア・渋谷地下街、ショッピングセンター、広告代理店、ケーブルテレビなど)、ホテル・リゾート事業(ホテル・ゴルフ場など)、の4事業を有する。
当社は運輸事業をコアとして、不動産・小売流通・ホテルなどの事業多角化が進んだ企業である。そもそも創業目的が不動産開発事業だったこともあり、鉄道事業は都市開発のいち手段という位置づけである点が同業他社とは異なっている。現在では不動産事業が全社利益の半分以上を稼いでいる。

✔最終利益と利益率

東急の純利益は、2020年には純損失562億円を計上したが、同年以降は回復傾向に転換。直近では純利益637億円まで増加しており、COVID-19以前の水準を回復。営業利益率はCOVID-19影響期間を除けば、概ね5%~9%ほどで推移。

✔自己資本比率と純資産

東急の自己資本比率は直近でも27%~30%と凡庸な水準に留まるが、自己資本比率が高まりにくい不動産事業*2と鉄道事業*3を展開していることが主要因。純資産は長期的に7,500億~8,200億円ほどで横ばい。
*2:不動産デベロッパーは投資額が巨額に及び、投資期間も長期に渡るためため長期借入金などの資金調達で賄うことが多く、自己資本比率は高まりにくい傾向がある。
*3:鉄道会社は鉄道車輛や線路の維持管理に膨大な設備投資資金を要する特性があり、自己資本比率は他業界と比べて低めとなる特徴がある。

社員の待遇

✔平均年収と平均年齢

東急の平均年収は730万~770万円ほどで長期的に推移。2021年にはCOVID-19影響で多くの鉄道会社が給与低下に直面したが、当社は給与低下は極めて限定的であった。大卒総合職ならば30歳で年収680~780万円、課長職レベルは1,000万~1,200万円ほど。

✔従業員数と勤続年数

東急の単体従業員数は2019年に急減*4しており、同年以降は1,400人~1,500人ほどの組織規模となっている。子会社・関係会社を含めた連結従業員数は2.35万人ほど。平均勤続年数は直近で14.6年と意外と大手企業の標準的水準に留まる。
*4:当社は2019年10月に鉄道事業を分社化して子会社・東急電鉄を設立、その際に鉄道事業に関係していた当社従業員の多くが同社へ移籍したことが主要因(参考リンク)。

総合評価

企業格付け:A

渋沢栄一が創業した名門・東急グループの中核企業として、不動産を中核として鉄道・小売流通・ホテルなど多種多様な事業を展開する大手私鉄グループ。時価総額においては阪急阪神ホールディングスと並んで、私鉄トップ級に君臨。業績はかなりの安定型であり、COVID-19影響期を除けば売上高は1兆円レベルで横ばい。営業利益においても300億~950億円ほどで横ばい。イメージの割には営業利益率が5%~9%で推移しており、それほど高くはないのは意外な一面か。財務体質については自己資本比率27%~30%ほどと高くはないが、不動産事業・鉄道事業を主力としている事情を踏まえれば問題にはならない水準であろう。同じく東急グループに属する東急不動産HDとは「沿線開発は東急、都心開発は東急不動産」という住み分けになっている。が、当社の持ち株比率が15%ほどに過ぎず、同社は東急グループではありつつも当社の直接的な支配を受けているわけではない。

就職格付け:総合職=A

数ある大手私鉄のなかでもトップクラスのブランドイメージを持ち、不動産沿線開発を主力として多方面に事業展開するビジネスモデルは関西における阪急阪神ホールディングスに近いものがある。が、給与水準は730万~770万円ほどで長期的に推移しており、企業イメージほど高給なわけでもない。大卒総合職でも30歳・680~780万円が目安となる。他の大手私鉄と比べれば多少の優位性はあるものの、(事業内容が類似する)大手不動産デベロッパーには遠く及ばず、大手メーカーにも後塵を拝する側面も。若手社員は独身寮に入寮する暗黙のルールが戦前から継承されており、住宅コストを浮かせられるものの共同生活を強いられる側面もある(参考リンク)。2年目以降は実家遠方者以外には社宅・家賃補助がないため、都心勤務でありつつ住宅補助がないため実入りはかなり少なくなる。当社が分譲するドレッセシリーズのマンションは8,000万円~1億円以上の価格帯であるから、当社の給与水準ではなかなか手が届かないという辛さも垣間見える。総合職の採用人数は年間30名以下と極めて門戸が狭い難関であるが、その割には旨味が少ないため、確固たる志がないような生半可な志望度で目指すのは推奨できない。

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出典:東急株式会社(有価証券報告書)