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【勝ち組?】JR貨物の就職偏差値・難易度と平均年収【企業研究レポート】

企業概要

日本貨物鉄道(JR貨物)は、日本全国において鉄道貨物輸送を展開する鉄道会社。1949年に設立された日本国有鉄道を源流とし、1987年に国鉄分割民営化により発足。日本全国を管轄する稀有な鉄道会社であり、年間2,000万トン以上の貨物輸送力を有する。鉄道貨物輸送において国内断トツ首位の地位にあり、トンキロベースでの輸送シェアは99%にも達する。

POINT

・貨物輸送に特化した鉄道会社、鉄道貨物輸送で国内シェア断トツ首位
・売上高は安定的だが利益は低迷傾向、不動産事業が利益の要
・平均年収593万円だが総合職はより高い、転勤範囲の広さは注意

就職偏差値と難易度

✔就職偏差値:60(中堅)

上場企業・著名企業に勤務するサラリーマンとしては中堅クラスの待遇を得られる。安定性や待遇に目立った課題はほぼなく、良好な人生を送ることができる可能性が高いだろう
詳細な企業分析は以下の業績動向社員の待遇を参照。本レポート末尾に総合評価を記す。

✔就職難易度:難関

総合職の採用実績は年間18名~25名と、採用枠はかなり少ない。JRブランドから知名度は高く、鉄道業界や物流業界との併願者が多い。
採用大学:【国公立】名古屋大学・熊本大学・滋賀大学・信州大学・埼玉大学・電気通信大学・長岡技術科学大学など、【私立】早稲田大学・関西学院大学・学習院大学・立命館大学・拓殖大学など(出典:マイナビ2026

業績動向

✔売上高と営業利益

日本貨物鉄道の売上高は1,880億円~1,980億円レベルで極めて安定的。ただし、COVID-19感染拡大期を経てからは1,900億円台には届かない状況。営業利益は2019年には85億円を確保したが、2020年からは赤字傾向が続いている。

✔セグメント別の状況

日本貨物鉄道は、鉄道ロジスティクス事業(鉄道貨物輸送を中心とした総合物流事業)、不動産事業(国・地方公共団体の委託による道路新設・改築・修繕など)、駐車場事業(土地・建物の貸付など)、その他事業(リース業など)、の3事業を有する。
当社は売上高の約87%を鉄道ロジスティクス事業が占めており、鉄道貨物輸送が主力事業である。僅かながら国際貨物輸送サービス引越サービスも手掛ける。利益面では不動産事業の貢献が大きく、物流施設やマンション分譲などが本業以上の利益を稼いでいる。

✔最終利益と利益率

日本貨物鉄道の純利益は2019年に50.4億円を記録したが、同年以降は低迷。2021年からは最終赤字が続いている。営業利益率も2019年には4%台だったが、同年以降は損益ギリギリないし赤字圏が続いている。

✔自己資本比率と純資産

日本貨物鉄道の自己資本比率は19%~23%での低空飛行が続いている。純資産は2021年までは1,000億円規模で推移していたが、同年以降は最終赤字に転落したことで減少。直近では純資産931億円となっている。

社員の待遇

✔平均年収と平均年齢

日本貨物鉄道の平均年収は590万~640万円ほどで推移している*1。総合職の場合、30歳で年収450万~530万円、課長職レベルで年収850万~900万円が目安。
*1:当社の採用枠には、プランナー職・プロフェッショナル職の2種類がある。プランナー職が総合職に該当する職種であり、昇給や昇進スピードは早い。

✔従業員数と勤続年数

日本貨物鉄道の単体従業員数は緩やかな増加傾向が長期的に続いており、直近の2023年は5,100人ほどの組織規模。子会社や関連会社の従業員も含めた連結従業員数は7,600人ほど。平均勤続年数は直近でも17.0年と大企業の標準的水準よりも長め。

総合評価

企業格付け:CCC

鉄道貨物輸送において国内シェア断トツ首位の最大手。日本国内には20社強の貨物鉄道会社が存在するが、当社はトンキロベースの輸送シェアでは99%にも達しており圧倒的な勢力を誇っている。鉄道会社として唯一、日本全国を営業エリアとしている点においても稀有な存在。日本国内における鉄道貨物輸送は1970年に輸送量のピークを記録してからは長期的な減少傾向にあり、当社の業績も停滞感が強い推移が続いている。2019年には最終利益50.4億円を記録して株式上場への期待が高まったが、COVID-19感染拡大期の輸送量減少を受けて赤字圏に転落。2024年には「物流2024年問題」と呼ばれるトラックドライバーの法令改正によって鉄道貨物輸送への期待が高まったが、2024年9月に車両組立時の不正が判明して全貨物列車が運行停止となる一大事件が発生して社会的物議を醸した(参考リンク)。当社は2030年までの完全民営化と株式上場を目指しており、業績安定化の早期達成が求められる局面であろう。

就職格付け:CCC

JRグループにおいて貨物鉄道部門を担っている企業。殆どの運行区間において他社から線路を借用して運行しており、自社保有の線路は僅か30kmにも満たない。当社の株式は国土交通省が所轄する鉄道建設運輸施設整備支援機構がすべて保有しており、実質的には国有企業。給与水準においては鉄道会社としては中堅レベルであり、平均年収は590万~640万円ほど。ただし、この平均年収は総合職(プランナー職)と現業職(プロフェッショナル職)が混在した数字であり、総合職の待遇はもう少し恵まれている。総合職であれば30歳で年収450万~530万円、課長職レベルで年収850万~900万円が目安となるだろう。福利厚生もかなり恵まれており、家賃補助制度では最大7.5万円/月まで支給される他、社宅や独身寮も十分に用意されている。当社に勤務する上での最大の課題は定期的な転勤。そのうえ当社は鉄道会社としては珍しく日本全国をカバーしているが故に、転勤範囲は極めて広範に及ぶ。

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出典:日本貨物鉄道株式会社(有価証券報告書)