本レポートでは、印象論ではなく、データから就職偏差値と格付を評価しています。レポート末尾で、最終結論とその根拠を提示します。
企業概要
日本空港ビルデングは、羽田空港の旅客ターミナル運営を中核とする空港機能施設事業者。1953年に東京国際空港(現・羽田空港)の整備・運営のため、民間企業有志の出資により設立。1964年には東京オリンピックの開催に向け、国際線ターミナルを供用開始。1970年には急増する海外旅客数に対応するべく国際線到着ターミナルを開業した。1991年には東京証券取引所に株式上場。1994年からは関西国際空港、2005年からは中部国際空港における免税店運営にも進出した。現在では、羽田空港第1・第2旅客ターミナルの運営を中核としながら、施設管理・物販・飲食・免税店・ラウンジ運営などを幅広く展開する空港ターミナル運営会社となっている。
就職偏差値と難易度
✔就職偏差値:65(中堅上位)
日本最大級の空港である羽田空港を運営する企業。一般知名度が低いマイナー業界ではあるが、大手航空会社にも見劣りしない給与水準を得られる。高い参入障壁に守られた準独占性は大きな強み。
詳細な企業分析は以下の業績動向・社員の待遇を参照。本レポート末尾に総合評価を記す。
■62→65に改定:COVID-19感染終息による業績回復の進展、従業員の平均年収の急上昇を再評価。3ノッチ格上げとした(2026年5月)
✔就職難易度:中難易度
総合職の採用人数は年間20人~30人と企業規模なり。マニアックな業界ゆえに穴場感は強く、航空会社の志望者の併願先にも意外とならないため倍率も高振れしない傾向。
採用大学:非公開(出典:マイナビ2028)
業績動向
✔売上高と営業利益
日本空港ビルデングの売上高は2020年まで2,200億〜2,700億円レベルで推移していたが、2021年には525億円まで激減*1。同年以降は回復傾向にあり、2025年には売上高2,699億円まで回復を遂げている。営業利益は2021年に▲590億円という大赤字を記録したが、同年以降は回復傾向。
*1:2021年の業績悪化は、COVID-19感染拡大による航空旅客数の激減が主要因。国際線利用者数は前年比97%減と事実上壊滅的な水準まで落ち込み、国内線利用者数も前年比70%減と大きく減少した。当社は空港事業に業績を依存するため深刻な影響を被った。
✔セグメント別の状況
日本空港ビルデングは、施設管理運営事業(空港ターミナルの建設・運営・賃貸、羽田空港船着場、空港駐車場管理運営)、物品販売事業(国内線・国際線の販売店・免税店の運営・商品供給など)、飲食事業(空港内レストランの運営、機内食の製造販売)、の3事業を有する。
当社の事業構造は、羽田空港の旅客ターミナル運営を中核としながら、施設賃貸・物品販売・飲食・免税店・ラウンジ運営・機内食製造などを組み合わせた空港インフラ型ビジネスとして成立している。基盤となるのは、羽田空港第1・第2旅客ターミナルの施設運営であり、航空会社・物販店・飲食店などに空港施設を賃貸し、賃料・施設利用料収入を得ている。一方で、収益の伸びを左右するのは物販・飲食・免税店などの商業収益である。空港利用者が増加すれば、土産物・飲食・免税品・ラウンジ利用などの消費も増えるため、旅客数やインバウンド需要の増加が追い風となる。当社は航空法に定める空港機能施設事業者に該当しており、新規参入障壁は極めて高い。実際、当社は70年以上にわたり羽田空港のターミナル施設運営を担い続けており、実態としては、空港単位で事業者が固定化された準独占的な事業となっている。
✔最終利益と利益率
日本空港ビルデングの純利益は2019年に過去最高となる330億円を記録したが、2021年には純損失▲365億円に沈んだ。同年以降は回復傾向にあり、2025年には純利益274億円に回復している。営業利益率は平常時であれば8%~14%と高めだが、2021年には▲112%という記録的な低水準に落ち込んだ。
✔自己資本比率と純資産
日本空港ビルデングの自己資本比率は2018年まで50%台で推移していたが、同年以降は30%に下落*2。2021年の大幅赤字でも自己資本比率が維持されているが、これは公募増資による影響*3。純資産は2020年に2,019億円に達したが、その後の業績悪化で下落。2025年には純資産1,983億円まで回復している。
*2:2019年に自己資本比率が急落した理由は、羽田空港のターミナル整備(参考リンク)に向けて長期借入金を増加させたことが主要因。当社は2016年度から第2ターミナル国際線施設などを含む羽田国際化投資を進めており、最終的な投資額は約950億円に達した。
*3:2021年に純損失365億円を計上した割に自己資本比率が低下していないが、これは同年に公募増資によって約614億円を調達したことが主要因(参考リンク)。
社員の待遇
✔平均年収と平均年齢
日本空港ビルデングの平均年収は2023年まで605万〜710万円で推移していたが、2025年には866万円まで上振れしている。総合職の場合、30歳で年収520万~600万円ほど、課長職レベルで950万~1,050万円に達する。平均年齢は40.6歳(2025年)と大手企業の標準的な水準を下回る。
✔従業員数と勤続年数
日本空港ビルデングの単体従業員数は長期的に250人レベルで推移していたが、2025年は314人の組織体制となっている。事業規模の割には小規模な組織である。子会社や関連会社の従業員も含めた連結従業員数は2,870人ほど。平均勤続年数は13.1年(2025年)と大手企業の標準的な水準をやや下回る。
上記の公開データを総合的に踏まえた、企業としての実力値と就職先としての評価を、以下に最終的な評価結論として整理します。
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