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ガス 商社

【勝ち組?】岩谷産業の就職偏差値と平均年収・待遇【企業研究レポート】

企業概要

岩谷産業は、LPガス・産業ガスを主力とするエネルギー専門商社。1930年に岩谷直治が酸素・カーバイド商店として創業。戦時中には海運などにも進出したが、1950年代からプロパンガス商社へと業態転換。1969年にはカセットコンロを商品化、日本全国にプロパンガスを急速に普及させた。現在ではLPガス・水素・ヘリウムなどを扱う総合エネルギー商社として発展、水素やヘリウムの供給量では国内シェア首位を誇る。2023年にコスモエネルギーHDの筆頭株主となり、同社を持分法適用会社化。

POINT

・LPガス・産業ガスに強いエネルギー商社、水素やヘリウムで国内シェア首位
・売上高・利益は増加傾向、コスモエネルギーHDを持分用適用会社化
・平均年収970万円だが、年功序列色が強いため若手社員の昇給はやや遅め

就職偏差値と難易度

✔就職偏差値:71(最上位)

日本社会におけるサラリーマンの最上位クラスの待遇を得られる。勝ち組サラリーマンとして胸を張れる人生が得られるが、入社するには相当以上の能力もしくは運が必要
詳細な企業分析は以下の業績動向社員の待遇を参照。本レポート末尾に総合評価を記す。

✔就職難易度:難関上位級

総合職の採用数は年間40名〜50名、事務職の採用数は年間15名〜20名ほど。専門商社としては採用数はかなり多い方だが、昨今の商社人気の高まりで選考倍率は高い。
採用大学:【国公立】京都大学・大阪大学・九州大学・千葉大学・横浜国立大学・滋賀大学・東京外国語大学・東京海洋大学・下関市立大学など、【私立】慶應義塾大学・早稲田大学・同志社大学・青山学院大学・南山大学・東京理科大学など(出典:マイナビ2026

業績動向

✔売上高と営業利益

岩谷産業の売上高は2021年まで5,600億〜7,100億円で推移していたが、2022年には過去最高となる9,062億円に急増*1。営業利益は長期的な増加傾向が続いており、2023年には過去最高となる営業利益506億円に到達。
*1:2022年に売上高が増加した理由は、①COVID-19感染収束による各種ガス需要の急回復、②ロシアによるウクライナ侵攻に起因する世界的なエネルギー価格の高騰、など。
*2:2023年に営業利益が増加した理由は、①電子部品業界・半導体業界向けのガス・水素販売の好調、②調達コスト・物流コスト上昇に呼応した値上げ対応、など。

✔セグメント別の状況

岩谷産業は、総合エネルギー事業(家庭用・業務用・工業用LPガス、液化天然ガス・石油製品・カセットコンロなど)、産業ガス・機械事業(水素・ヘリウム・水素ステーション機器、半導体製造装置・電子部品製造装置など)、マテリアル事業(PET樹脂・バイオマス燃料・レアアースなど)、その他事業(食品・畜産・金融・保険など)、の4事業を有する。
当社はLPガス・産業ガスを主力としているが、食品の劣化防止に充填する窒素ガスや飲料に使用される炭酸ガス、医療用MRIや半導体製造に必要なヘリウムガスなども供給する。非エネルギー分野(マテリアル事業・その他事業)が売上高に占める割合は約25%と大きくはないが、冷凍野菜・健康食品・養豚・農業機械なども幅広く取り扱っている。

✔最終利益と利益率

岩谷産業の純利益は長期的な増加傾向が続いており、2023年に過去最高となる473億円に到達*3。営業利益率は4%〜5%ほどで横ばいが続いている。
*3:2023年に純利益が増加した理由は、同年にコスモエネルギーホールディングスの株式を取得して持分法適用会社化した際に負ののれん発生益が約93億円ほど発生した影響が大きい(参考リンク)。

✔自己資本比率と純資産

岩谷産業の自己資本比率は2021年に48.4%に到達したが、同年からは下落傾向に転換。直近の2023年には自己資本比率43.4%となっているが、これは商社としてはかなり高めの水準である。純資産は増加傾向が長年に渡って継続しており、2023年に3,729億円に急増。

社員の待遇

✔平均年収と平均年齢

岩谷産業の平均年収は長期的に850万〜970万円ほどで推移している。総合職の場合、30歳で年収680万〜750万円ほど、マネージャーレベルで年収1,150万〜1,300万円ほど。年功序列色が強い給与制度となっており、総合職であれば40歳前後に年収1,000万円に横並びで到達する。

✔従業員数と勤続年数

岩谷産業の単体従業員数は2022年まで増加傾向が続いていたが、直近の2023年は1,321人にやや減少。子会社や関連会社の従業員も含めた連結従業員数は1.13万人ほど。平均勤続年数は直近でも15.3年と、大企業の標準的水準に留まる。

総合評価

企業格付け:AA

プロパンガス(LPガス)や産業ガス(水素・酸素・窒素・アルゴン・ヘリウムなど)において国内トップクラスの供給力を誇る総合エネルギー専門商社。とりわけ水素とヘリウムでは国内シェアが断トツ首位であり、他の追随を許さない。非エネルギー分野は売上高の約30%と多くはないが、冷凍野菜・健康食品・養豚・農業機械なども幅広く取り扱っている。業績においては2022年から売上高・利益いずれも急伸して過去最高圏で推移しているが、これは世界的な資源価格の高騰や為替レートの円安推移による影響が大。財務体質は直近で自己資本比率43.3%(2023年)と、商社としては上位クラスの水準。2023年にはコスモエネルギーホールディングスの発行済み株式数の約20%を取得して持分法適用会社にしており、同社の投資利益が2024年から加わる見通し。が、ガスを中心とする同社の事業ポートフォリオとのシナジー性には疑問が呈されており、巨額投資で同社を傘下入りさせた背景が問われている(参考リンク)。

就職格付け:AA

エネルギー商社としては伊藤忠エネクスに続く、業界最大手の一角。主力事業はLPガス・産業ガスであるが、水素やヘリウムにおいては国内屈指の供給力を誇っている。現在においても大阪本社の在阪商社として知られ、業種こそ違えども同じく大阪本社の長瀬産業稲畑産業阪和興業などと比べられることが多い。給与水準においては専門商社としては上位級であるが、平均年収は長期的に850万〜970万円ほどで推移。総合職の場合、30歳で年収680万〜750万円ほど、マネージャーレベルで年収1,150万〜1,300万円に到達する。意外にも年功序列色が強い給与制度となっており、総合職であれば40代前後で年収1,000万円に到達はするが、他の大手専門商社と比較すると大台を超えるのは早くはない印象は拭えないか。福利厚生においては若手社員には借上げ社宅が提供され、自己負担は月額1万円ほどと安価。東京・大阪には独身寮が用意されており、若手社員であれば格安で入居できる(参考リンク)。

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出典:岩谷産業株式会社(有価証券報告書)