企業概要
伊藤忠丸紅鉄鋼は、鉄鋼トレーディング・加工・物流・事業投資を主力とする鉄鋼系専門商社。1990年代のバブル崩壊後の鉄鋼需要の低迷をうけて、2001年に伊藤忠商事と丸紅の鉄鋼部門が分離合併されて設立。親会社にあたる総合商社2社の顧客基盤を活かして、建築・土木・造船・自動車・電機など幅広い業界向けに鉄鋼製品を供給。単なる鉄鋼販売に留まらない、顧客へのファイナンス支援・プロジェクトマネジメント・物流網構築による価値創出を得意とする。現在では鉄鋼系専門商社としての売上高は国内首位を誇る他、グローバルにおいても世界52ヵ国において事業展開。
・鉄鋼系専門商社として業界首位、伊藤忠商事・丸紅が親会社
・鉄鋼市況の好転により業績は過去最高圏に到達、財務体質も良好
・総合職・30歳で年収1,100万~が目安、業績好調で年収は更に上振れる
就職偏差値
✔就職偏差値:74(最上位)
日本社会におけるサラリーマンの最上位クラスの待遇を得られる。勝ち組サラリーマンとして胸を張れる人生が得られるが、入社するには相当以上の能力もしくは運が必要。
詳細な企業分析は以下の業績動向・社員の待遇を参照。本レポート末尾に総合評価を記す。
✔就職難易度:最難関級
総合職の採用数は30人~50名と企業規模なり。鉄鋼系専門商社としては頭一つ抜けた高待遇により、総合商社との併願が多い。中途採用比率が低いため、新卒入社を狙いたい。
採用大学:【国公立】東京大学・一橋大学・京都大学・名古屋大学・九州大学・北海道大学・神戸大学・筑波大学・横浜国立大学・国際教養大学など、【私立】慶應義塾大学・早稲田大学・上智大学・同志社大学・立教大学・法政大学・津田塾大学など(出典:マイナビ2026)
業績動向
✔売上高と営業利益
伊藤忠丸紅鉄鋼の売上高は2020年に1.63兆円に落ち込んだ*1が、同年からは増加傾向に転換。2022年には過去最高となる売上高3.74兆円に到達*2。営業利益も2020年に334億円に落ち込んだが、2022年には1,477億円まで増加を遂げている。
*1:2020年の業績後退は、世界的なCOVID-19感染拡大の影響。グローバルにおける経済活動の停滞によって鋼材需要が急落したことで、販売価格・数量いずれも下落を強いられた。
*2:2022年に売上高が急伸した理由は、①世界的な原材料価格の高騰による販売価格の上昇、②国内外における鉄鋼需要の急回復、など。とりわけ北米地域の鋼管事業・建材需要が堅調であった。
✔セグメント別の状況
伊藤忠丸紅鉄鋼は、鉄鋼関連事業(鉄鋼製品等の輸出入および販売、加工、サプライチェーンマネジメント、鉄鋼関連業界への投資)のみの単一事業会社である。
✔最終利益と利益率
伊藤忠丸紅鉄鋼の純利益は2020年に低迷に見舞われたが、同年以降は急回復。2022年には純利益955億円に到達している。営業利益率は1%~3%で推移しており、ビジネス規模の大きさで利益を確保する構造となっている。
✔自己資本比率と純資産
伊藤忠丸紅鉄鋼の自己資本比率は27%~31%レベルでの推移が続いている。純資産は昨今の業績好調を追い風として増加傾向にあり、2023年には5,978億円に到達。
社員の待遇
✔平均年収と平均年齢
伊藤忠丸紅鉄鋼の平均年収・平均年齢は非公開。総合職であれば30歳で年収1,100万〜1,200万円ほど、課長職レベルで1,500万〜1,800万円ほどに達する。事務職であっても30歳で年収600万~750万円に達する。鉄鋼系専門商社としてはトップクラスの給与水準となっている。
[非公開会社のためデータなし]
✔従業員数と勤続年数
伊藤忠丸紅鉄鋼の単体従業員数は994人(2023年)となっている。子会社や関連会社の従業員も含めた連結従業員数は1.07万人ほどであり、殆どの従業員は事業会社に属している。平均勤続年数は非公開。
[非公開会社のためデータなし]
総合評価
企業格付け:AA
鉄鋼系の専門商社として日系首位となる事業規模を誇る業界最大手。競合他社としては阪和興業・メタルワン・日鉄物産・岡谷鋼機などが挙げられやすい。当社の最大の特徴は、親会社にあたる伊藤忠商事・丸紅の事業基盤・人材・顧客ネットワークなどの豊富な経営資源を活かした事業展開にあり、これは独立系・メーカー系の鉄鋼専門商社にはない強み。業績においては世界的な景気回復・原材料価格の高騰を追い風に、2022年に過去最高圏となる売上高・利益を叩き出している。ただし、良くも悪くもグローバルの鉄鋼需要・価格に業績を左右されやすいのも事実であり、2020年はCOVID-19影響による鋼材需要・価格の下落によって業績を落とした経緯もある。他の鉄鋼系専門商社は非鉄鋼分野にも進出していることが多いが、当社は鉄鋼分野に特化した事業展開であるが故に鉄鋼市況の影響を良くも悪くも直接的に受けやすいのも特徴であろう。
就職格付け:AAA
かつて「商社冬の時代」と呼ばれたバブル崩壊後において伊藤忠商事と丸紅が鉄鋼部門を分離・合併して設立した企業。現在においても伊藤忠商事・丸紅が発行済み株式を50%ずつ保有しており、当社の親会社として機能している。かつて総合商社の一部門であった歴史的な経緯から、総合商社をベンチマークした給与・福利厚生が今なお残っており、鉄鋼系専門商社としてはトップクラスの待遇である。総合職であれば30歳で年収1,100万〜1,200万円ほど、課長職レベルで1,500万〜1,800万円ほどが目安。なお、業績好調であれば賞与が更に上積みされるため、給与は上振れる。事務職であっても30歳で年収600万~750万円に達するため、他の大手企業の総合職と遜色がない待遇を得られる。福利厚生においても相当に恵まれており、①若手社員は希望すれば全員が独身寮に入寮可能、②会社都合の転勤者には最大10万円/月まで借上げ社宅として補助が適用、など。2011年からグローバル人材育成強化策として入社10年以内での海外勤務が義務付けられたため、海外赴任は必ず経験することができる。