企業概要
ユニリーバは、イギリスに本社を置く大手食品・飲料・洗剤・衛生用品メーカー。1929年にオランダ系マーガリンメーカーのマーガリン・ユニと、イギリス系石鹸メーカーのリーバ・ブラザーズが合併して誕生。1970年代には多種多様な企業買収を繰り返して50以上の事業を展開するに至ったが、1990年代には事業再編を繰り返してコア事業への注力を進めた。現在では世界190ヵ国以上で事業展開する世界最大級の消費財メーカーとして君臨。代表的な製品には『Dove』『LUX』『ドメスト』などがある。
・P&Gに並ぶ世界最大級の日用品メーカー、日本では美容品・洗剤などが強い
・売上高・利益いずれも安定的で利益率も良好、財務体質も健全
・担当職で年収700万~900万円ほど、外資系企業ながら福利厚生も良好
就職偏差値と難易度
✔就職偏差値:74(最上位)
日本社会におけるサラリーマンの最上位クラスの待遇を得られる。勝ち組サラリーマンとして胸を張れる人生が得られるが、入社するには相当以上の能力もしくは運が必要。
詳細な企業分析は以下の業績動向・社員の待遇を参照。本レポート末尾に総合評価を記す。
✔就職難易度:最難関級
外資系メーカーとしてはトップクラスの人気を誇るが、総合職の採用人数は年間10名と少ない。新卒採用に独自システム『UFLP365』を導入しており、大学1年生から1年中いつでも応募可能。
採用大学:【国公立】東京大学・京都大学・東北大学・国際教養大学など、【私立】慶應義塾大学・早稲田大学・上智大学・同志社大学・明治大学・中央大学など(出典:外資就活ドットコム)
業績動向
✔売上高と営業利益
ユニリーバの売上高は2021年まで500億ユーロ前後での推移が続いていたが、同年以降は600億ユーロ台まで増加。2023年には過去最高となる607.6億ドルに到達している。営業利益は2018年に126.3億ドルを記録したが、同年を除けば80億~100億ユーロほどで安定的。
*1:2022年から売上高600億ユーロ台へと切り上がった理由は、世界的な物価上昇を受けた値上げ対応が主要因。1製品当たりの単価が増加したことで、売上高が拡大するに至っている。
✔セグメント別の状況
ユニリーバは、ビューティー部門(ヘアケア・スキン製品『Dove』『Sunsilk』『Vaseline』、ビタミン飲料『Liquid I.V.』など)、パーソナルケア部門(男性化粧品『Axe』・石鹸『Lifebuoy』・ヘアケア製品『LUX』など)、ホームケア部門(家庭用洗剤『Domestos』・柔軟剤『Comfort』・家庭用クリーナー『Cif』など)、フード部門(調味料『Hellmann’s』・スープ『Knorr』・栄養補助食品『Horlicks』)、アイス部門(アイスクリーム『Wall’s』『Magnum』など)、の5部門を有する。
当社は1970年代から多種多様なブランドを買収・再編して成長してきた企業であり、現在では全世界で400以上のブランドを展開している。1990年代には1600以上のブランドを展開していたが、2000年代以降は主力ブランドにリソースを集中することで競争力を維持する方針を採っている。
✔最終利益と利益率
ユニリーバの純利益は2018年を除けば60億~80億ユーロで安定的に推移している。営業利益率は長期的に15%~16%ほどで安定しており、食品・日用品メーカーとしては高い利益率を維持し続けている。
✔自己資本比率と純資産
ユニリーバの自己資本比率は2020年まで増加傾向がみられたが、同年以降は26%前後の水準での横ばいが続いている。大手メーカーとしては低めにも見えるが、利益体質が極めて安定していることを思えば不安はない。純資産は2022年まで増加傾向が続いていたが、同年以降は200億ユーロ台で横ばい。
社員の待遇
✔平均年収と平均年齢
ユニリーバの平均年収は非公開。日本法人の場合、総合職の担当職レベルで700万~900万円ほど。マネージャークラスで1,200万~1,500万円ほど。マネージャークラスへと昇格しないと年収1,000万円を超えにくく、世間が思うほど傑出した水準ではない。
[日本法人の個別データは非公開]
✔従業員数と勤続年数
ユニリーバの従業員数はグローバルで12.8万人レベル。日本法人における従業員数は580人ほどと推定される。日本法人における平均勤続年数は非公開。
[日本法人の個別データは非公開]
総合評価
企業格付け:AAA
日用品メーカーとしてP&Gに続く世界2位に君臨するグローバル企業。世界190ヵ国以上で食品・飲料・洗剤・衛生用品を販売しており、保有ブランド数は400以上にも及ぶ。P&Gと同じくブランド戦略に長けた企業であり、1970年代から多種多様なブランドを買収・再編して成長を続けてきた歴史がある。業績においては2021年まで500億ユーロ前後での推移が続いていたが、同年以降は600億ユーロ台へと増加。生活必需品を扱う企業だけに安定性が非常に高く、売上高・利益いずれも景気動向に左右されにくい。営業利益率は15%以上を長期的に維持し続けており、日用品メーカーとしては相当な高利益率となっている。財務体質においては自己資本比率28.2%(2023年)とそれほど高くはないが、利益体質が安定している企業であるため問題はない。やはりグローバル市場における優良企業として広く認知される企業だけに、「優良かつ隙がない」事業展開と評価できるだろう。
就職格付け:AA
かつて1929年にイギリス・オランダの日用品メーカー2社が合併した企業であり、1930年から2020年に至るまで本社をロンドン・ロッテルダムの2カ所に置いてきた(2020年にロンドンに本社を一本化)。日本には1964年から進出しており、現在では『Dove』『LUX』が人気を集めている。日本法人の給与水準は日系大手メーカーと同レベルであり、総合職の担当職レベルで700万~900万円、マネージャークラスで1,200万~1,500万円ほど。営業部門やブランドマネージャーには実績に応じてインセンティブボーナスが支給される。福利厚生は外資系企業としては恵まれており、借上社宅制度によって月額家賃の約70%が会社負担となる。在宅勤務制度も定着しており、独自制度「WAA」によって平日5時から22時なら勤務時間や休憩時間は自由に働くことができるのも魅力。外資系メーカーへの就職を考える場合には、やはり優良候補となるだろう。