企業概要
ヤンマーホールディングスは、農業機械・建機・産業用エンジンなどを展開する大手機械メーカー。1912年に山岡孫吉がガス発動機商会として創業。1933年には世界初の小型ディーゼルエンジンの開発に成功し、産業用エンジンメーカーとして発展。戦後にはディーゼルエンジン技術を発展させて農機・建機・造船分野へと進出。とりわけ農機分野ではクボタに次ぐ国内シェア2位を確立するに至った。現在においても産業用ディーゼルエンジンにおいて日系トップクラスの実績を誇り、農機メーカーとして世界6位に君臨する。
・農機・建機などが主力の機械メーカー、小型ディーゼルエンジン技術に強い
・売上高・利益いずれも増加傾向、財務体質はやや弱含みだったが改善傾向
・30歳で年収580万~650万円、大阪本社で主力拠点は関西圏に集積
就職偏差値と難易度
✔就職偏差値:64(中堅上位)
サラリーマンの中堅上位クラスの待遇を得られ、世間的にも有名企業・大企業勤務として認知される。サラリーマンとして安定した人生が得られるが、入社するには人並み以上の努力が必要だろう。
詳細な企業分析は以下の業績動向・社員の待遇を参照。本レポート末尾に総合評価を記す。
✔就職難易度:難関
総合職の採用人数は年間40人~50人だが、うち事務系採用枠は10人ほど。テレビCMの効果もあって農機メーカーとしては一般知名度は非常に高く、選考倍率は相応に高い。
採用大学:【国公立】大阪大学・東北大学・神戸大学・滋賀大学・熊本大学・岡山大学・岩手大学・電気通信大学・大阪公立大など、【私立】慶應義塾大学・早稲田大学・同志社大学・関西学院大学・立命館大学・名城大学・龍谷大学・甲南大学など(出典:就職四季報)
業績動向
✔売上高と営業利益
ヤンマーホールディングスの売上高は2020年まで7,600億〜7,900億円レベルで推移していたが、同年以降は増加傾向に転換。2023年には過去最高となる1.08兆円に到達している。営業利益も増加傾向が続いており、2023年には613億円に到達している。
*1:2020年から売上高が増加している理由は、①新興国市場における農業機械の販売拡大、②欧米市場における建設機械の販売好調、③為替レートの円安推移による為替効果、など。
✔セグメント別の状況
ヤンマーホールディングスは、産業用機械事業(農業機械・建設機械・ガスヒートポンプ・非常用発電機などの製造販売)、内燃機関・関連機器事業(産業用エンジンと関連機器の製造販売)、の2事業を有する。
当社は戦前から小型ディーゼルエンジンをコアとした事業展開を進めており、現在では小型ディーゼルエンジンを搭載した農業機械や建設機械などを擁する産業用機械事業が売上高の約59%を占めるに至っている。グローバル展開も進んでおり、海外売上高比率が約62%まで拡大している。
✔最終利益と利益率
ヤンマーホールディングスの純利益は2019年に9億円まで低迷していたが、同年以降は増加傾向に転換。2023年には過去最高となる純利益495億円に到達している。営業利益率は2019年までは1%台で低迷していたが、2023年には5.67%まで改善を示している。
✔自己資本比率と純資産
ヤンマーホールディングスの自己資本比率は2020年まで20%台と低めであったが、同年以降は増加。2023年には31.6%とまずまずの水準に改善している。純資産は2019年まで2,000億~2,300億円レベルであったが、同年以降は増加傾向に転換。2023年には純資産3,944億円に到達している。
社員の待遇
✔平均年収と平均年齢
ヤンマーホールディングスの平均年収は非公開だが、長期的に580万円~720万円ほどで推移していると推定される*2。大卒総合職の場合、30歳で年収580万~650万円ほど、課長職へ昇格すると年収900万~1,100万円が目安となる。30歳までの昇給は緩慢だが、管理職となると年収1,000万円を超える。
*2:この平均年収は求人情報・企業口コミ情報をベースに当組織が業績・平均年齢・平均勤続年数を加味して推計した数値である。
✔従業員数と勤続年数
ヤンマーホールディングスの単体従業員数は増加傾向にあるが、2023年には2,968人の組織体制となっている。子会社や関連会社の従業員も含めた連結従業員数は2.15万人ほど。平均勤続年数は15.9年(2023年)と大企業の標準的な水準。
総合評価
企業格付け:CCC
小型ディーゼルエンジン領域をコア技術とする機械メーカーであり、農業機械においてはクボタに次ぐ業界2位の地位を占める。戦前に小型ディーゼルエンジンを世界で初めて実用化した実績を持ち、戦後からは小型ディーゼルエンジンを搭載する農機・建機・造船など事業多角化を進めてきた歴史がある。業績においては2021年から売上高・利益いずれも急伸しており、2022年には売上高1兆円を突破。世間が思う以上に巨大な事業規模に到達しており、農業機械3位の井関農機(売上高1,699億円・2023年)を遥かに凌駕している。最近では新興国市場における農機シェアの拡大や、欧米市場における産業用エンジンの販売増加などが業績の追い風となっている。財務体質においては2019年までは自己資本比率20%台で低迷していたが、2023年には自己資本比率31.6%まで回復。もともとは弱かった財務体質が、大手メーカーとして中庸な水準にまで回復できたと評価できよう。
就職格付け:CCC
売上高1兆円を超える大手産業機械メーカーであり、テレビCMの『ヤン坊マー坊』によって一般知名度は大いに高い。創業者である山岡孫吉から4代続く同族経営で、売上高1兆円を超える企業規模ながら非上場を貫いていることも特徴。給与水準においては平均年収こそ非公開であるが、業界首位のクボタに次ぐ水準。大卒総合職であれば、30歳で年収580万~650万円ほど、課長職へ昇格すると年収900万~1,100万円が目安となるだろう。年功序列色が強いため20代のうちは給与は伸びにくいが、管理職に登用されれば年収1,000万円前後まで一気に伸びることが特徴である。福利厚生においては住宅補助が手厚く、20代のうちは月額1万円ほどの自己負担のみ。若手のうちは給与が伸び悩むとはいえ、手厚い住宅補助によって生活水準は高めに保ちやすいのは強みである。主力拠点は関西圏に集積しているため、地元志向が強い関西圏の出身者にとっては大いに候補となりうる企業であろう。