企業概要
ミニストップは、イオングループのコンビニエンスストアチェーン。1980年にジャスコ(現・イオン)が新規事業開発プロジェクトにおいてコンビニエンスストア分野への進出を目指して創業。首都圏・東海地方を地盤に店舗数を伸ばして、1993年に東京証券取引所に株式上場。イートイン形式によるスナック・デザートの提供を重視しており、1985年に新感覚デザート『ハロハロ』を発売して大ヒット。現在では国内1,848店舗・海外182店舗を展開、コンビニ業界において第4位の規模を誇る。
・コンビニ業界4位、イオングループが大株主かつ後ろ盾
・売上高・利益いずれも減少しており業績不振、韓国事業を売却
・平均年収605万円と小売業界としては高め、借上げ社宅が手厚い
就職偏差値と難易度
✔就職偏差値:56(中堅)
上場企業・著名企業に勤務するサラリーマンとしては中堅クラスの待遇を得られる。安定性や待遇に目立った課題はほぼなく、良好な人生を送ることができる可能性が高いだろう。
詳細な企業分析は以下の業績動向・社員の待遇を参照。本レポート末尾に総合評価を記す。
✔就職難易度:やや難関
昨今の業績不振で採用数を絞っており、総合職の採用数は年間2名〜20名に留まる。日本全国で一般知名度がある有名企業だけあって、選考倍率は10倍を超える。
採用大学:【国公立】静岡大学・香川大学・山口大学・高知大学・群馬県立女子大学・北九州市立大学など、【私立】青山学院大学・日本大学・駒澤大学・専修大学・拓殖大学・国士舘大学・大正大学・明星大学など(出典:マイナビ2026)
業績動向
✔売上高と営業利益
ミニストップの売上高は2021年まで1,800億〜2,070億円で推移していたが、同年以降は800億円前後まで急落*1。営業利益は2018年から慢性的な赤字が続いており、本業で利益を生み出せていない*2。
*1:2022年に売上高が減少した理由は、「収益認識に関する会計基準(企業会計基準第29号)」の適用による大幅減収が主要因。
*2:営業利益が低迷する理由は、①直営店の人手不足による効率悪化、②直営店の混乱による加盟店の指導力低下、③おにぎりを物価高に逆行して値下げしたコスト増加、④ベトナムにおける黒字化の遅れ、など。
✔セグメント別の状況
ミニストップは、国内事業(商品企画・開発、加盟店向け経営支援・教育、直営店舗運営など)、海外事業(ベトナムにおける事業展開)、の2事業を有する。
当社は売上高の約87%を国内事業が占めており、海外事業の売上高は約13%に留まる。海外展開は2022年に韓国から撤退しており、現在ではベトナムにおける展開のみ。分野別の売上高においては、直営店舗における売上高と加盟店からの収入(ロイヤリティおよび商品卸売)が拮抗する。
✔最終利益と利益率
ミニストップの純利益は2018年から赤字が続いている。2022年のみ純利益128.3億円を記録したが、これは一過性の要因*3。営業利益率は2018年からマイナス圏で推移しており、利益を生み出せていない。
*3:2022年の純利益の急増は、韓国事業をロッテグループへ売却したことで特別利益310億円を計上したことが理由(参考リンク)。
✔自己資本比率と純資産
ミニストップの自己資本比率は2021年まで低下傾向が続いていたが、2022年に50%まで急増。本業が不振とはいえ、自己資本比率は良好な水準にある。純資産は慢性的な赤字による減少が続いていたが、2022年に406億円まで回復。
社員の待遇
✔平均年収と平均年齢
ミニストップの平均年収は長期的に580万〜610万円ほどで安定的に推移。総合職の30歳で年収430万〜490万円ほど、課長職レベルで年収750万〜800万円ほど。非管理職は年収600万円ほどで昇給は頭打ちとなる。
✔従業員数と勤続年数
ミニストップの単体従業員数は2022年まで減少傾向が続いている。直近では624人ほどの組織体制。子会社や関連会社の従業員も含めた連結従業員数は1,440人ほど。平均勤続年数は直近で17年と小売企業としては長いが、新入社員が減っている事情もある。
総合評価
企業格付け:CCC
コンビニ業界において第4位の業界大手…だが、業界3位のローソン(国内外2.1万店舗)と比べて当社の規模感(国内外2,000店舗)は10分の1と圧倒的な大差がある。業績は2017年から不振が続いており、2018年から6年連続で営業赤字が続いている状況。物価高を受けて同業他社が値上げを続ける状況で、おにぎりを敢えて値下げするも(想定以上の物価高により)早々に再値上げするなど価格戦略が迷走。直営店が人手不足に陥ったことで社員を投入してオペレーションを立て直すものの、加盟店への経営指導が遅れるなど混乱が目立つ(参考リンク)。赤字が続いたことで財務体質も悪化しており、自己資本比率24.3%(2021年)まで低下。2022年に韓国事業をロッテグループに売却して特別利益310億円を得たことで足元の自己資本比率50%まで回復を遂げたが、根本的な赤字体質を改善する必要がある。が、2024年は遂に営業黒字を確保できる見通し(参考リンク)。イオングループの力を借りて『トップバリュ』ブランドを展開すると共に、赤字が続いていたベトナム事業の黒字化を達成する予定である。
就職格付け:CC
イオングループが新規事業開発プロジェクトとして1980年に設立したコンビニエンスストアチェーン。現在でもイオンが全株式の約48%を保有する大株主であり、同グループのイオンフィナンシャルサービスも大株主に名を連ねる。給与水準は小売業界としては上位クラスであり、平均年収580万〜610万円ほど。総合職の30歳で年収430万〜490万円ほど、課長職レベルで年収750万〜800万円には達する。従業員の給与は相当に守られており、業績不振が続く状況でも平均年収は横ばいを維持しているのは特筆に値するか。福利厚生も小売業界としては恵まれており、転居を伴う転勤があれば借上げ社宅(自己負担は月額2万円)が与えられる。総合職は全国転勤型と勤務地固定型を選べるが、基本給で4万円の差がつく。