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小売流通会社

【勝ち組?】トラスコ中山の就職偏差値・難易度と平均年収【企業研究レポート】

企業概要

トラスコ中山は、作業用品・工具・副資材・オフィス用品などを製造販売する物流・卸売事業者。1959年に中山注次が大阪府・天王寺で機械工具商店として創業。創業から現在に至るまで工具・作業用品の販売に一貫して注力。1970年にはコンピュータによる在庫管理・経理処理を導入した他、1990年代からは日本全国にスピード配送できる物流網を構築。現在では約3,500社から様々な作業用品・工具を仕入れ、日本全国の製造業・建設業・一般消費者にスピード配送する卸売・物流ビジネスを展開。

POINT

・作業用品・工具の卸売大手、ITと物流を駆使した事業展開に強み
・売上高は右肩上がりだが利益は横ばいを維持、財務体質はかなり良好
・平均年収663万円だが、福利厚生の充実には異様なまでの熱心さ

就職偏差値

✔就職偏差値:61(中堅上位)

大手企業の中でも中堅上位クラスの1社であり、世間的にも有名企業として認知される。入社できればサラリーマンとして、かなり安定した人生が得られるだろう。
詳細な企業分析は以下の業績動向社員の待遇を参照。本レポート末尾に総合評価を記す。

✔就職難易度:中難易度

総合職の採用数は年間30人~70人と企業規模なりの採用数。卸売業界のリーディングカンパニーだが、一般知名度はそれほど高くはないため、意外と穴場ではある。
採用大学:【国公立】大阪大学・大阪府立大学・神戸大学・岡山大学・新潟大学・香川大学・高知県立大学など、【私立】同志社大学・立命館大学・中央大学・法政大学・日本大学など(出典:マイナビ2025

業績動向

✔売上高と営業利益

トラスコ中山の売上高は緩やかな増加傾向が継続しており、直近では売上高2,681億円に到達*1。営業利益は長期的に110億~185億円で横ばいであるが、これは当社が利益拡大よりも事業拡大に注力しているため先行投資が嵩んでいる事情もある。
*1:当社は2009年の売上高992億円から約15年間で売上高が2倍以上に増加。成長の理由には、①同業他社を圧倒する約100万アイテムの在庫による顧客囲い込み、②システム・物流網を一体としたスピード配送による利便性、などがある。

✔セグメント別の状況

トラスコ中山は、ファクトリールート事業(製造業・建設関連業向け卸売)、eビジネスルート事業(ネット通販企業向け販売、自社電子カタログ『オレンジブック』顧客向け販売など)、ホームセンタールート事業(ホームセンター・プロショップ向け販売)、海外ルート事業(ドイツ・タイ・台湾などにおける事業展開)、の4事業を有する。
当社は約100万アイテムに及ぶ広範な在庫ラインナップで製造業・建設業・物流業などを顧客としているが、事業別にみるとファクトリールート事業が売上高の約68%を占める。商品分野別にみると、作業用品・環境安全用品・ハンドツールの3分野で売上高の約55%を支えている。

✔最終利益と利益率

トラスコ中山の純利益は長期的に80億~120億円で極めて安定的だが、これも当社が利益拡大よりも事業拡大に注力しているため先行投資が嵩んでいる事情による。営業利益率は長期的に5%〜8%ほどで推移しており、卸売業としてはやや高めの水準。

✔自己資本比率と純資産

トラスコ中山の自己資本比率は2016年頃まで80%前後で推移していたが、同年以降はやや低下傾向。しかし直近でも自己資本比率60%以上を確保しており財務体質は健全。純資産は右肩上がりで増加しており、直近では純資産1,607億円に到達。

社員の待遇

✔平均年収と平均年齢

トラスコ中山の平均年収は2018年まで700万円台で推移していたが、同年以降は620万〜660万円ほどに後退。大卒総合職であれば30歳で550万~600万円ほど、課長職レベルで850万~950万円ほど。

✔従業員数と勤続年数

トラスコ中山の単体従業員数は2018年まで増加傾向が続いてしたが、同年以降は1,600人規模で横ばい。平均勤続年数は2021年頃から15年以上に到達しており、大手企業の標準的な水準となっている。

総合評価

企業格付け:CCC

大阪府発祥の作業用品・工具・副資材・オフィス用品などに特化した卸売会社。一般知名度は高くないものの、製造業・建設業・物流業などにおいては『オレンジブック』で広く親しまれる存在。競合にはアスクル・モノタロウ・ミスミグループ本社などがあるが、当社は街の機械工具店・ホームセンター・ネット通販会社への卸売が主力事業であり、実はアスクルやモノタロウにも自社製品を納入する関係にある。業績面においては、過去10年以上に渡って規模拡大を続けており、売上高は直近で2,681億円に到達。規模拡大を優先しているため利益は伸び悩んでいるが、卸売会社としては優良な営業利益率5%〜8%ほどをしっかりと維持しており堅実な成長を志向していることが伺える。財務体質もかなり保守的であり、最近は積極投資を進めているものの依然として自己資本比率60%台を維持し続けている。総じて、無理をせずに安定成長し続けている企業といえよう。

就職格付け:CCC

卸売業におけるリーディングカンパニーの1社。とりわけ、ITと物流を巧みに駆使しつつ、圧倒的な在庫ラインナップで顧客を囲い込む独自戦略には定評。在庫を増やし続けることで顧客の必要な商品をスピード配送する当社のビジネスモデルは、「在庫は悪」という業界の常識に反するものの、この独自戦略によって成長を続けている。給与水準は卸売業界としては中堅上位級の給与水準であり、過去数年は平均年収620万〜660万円ほど。大卒総合職であれば30歳で550万~600万円ほどには達する。福利厚生には非常に心血を注いでおり、自社保有の独身寮「トラスコーズ」に、軽井沢と箱根に自社リゾート「トラスコリゾート」を保有。それだけならまだしも、①横浜と神戸に一隻ずつ社員用クルーザー「トラスコーズ一世」「トラスコーズ二世」を保有する(クルーザー免許取得に会社補助あり)、②自然災害に巻き込まれた社員への見舞金、③社員の還暦祝いに高級リゾート招待、④従業員の死亡時には香典が勤続年数に応じて最大1,000万支給など、冗談のような福利厚生が揃っている。まさに隠れ優良企業である。

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出典:トラスコ中山株式会社(有価証券報告書)