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【勝ち組?】テスラジャパンの就職偏差値・難易度と平均年収【企業研究レポート】

企業概要

テスラは、アメリカに本社を置く自動車メーカー。2003年にマーティン・エバーハードが電気自動車メーカーとして創業、2008年にはイーロン・マスクがCEOに就任し、電気自動車スポーツカー『ロードスター』を発売。2012年からは普及価格帯の電気自動車の量産を開始。現在では年間180万台以上の電気自動車を販売、2023年には『モデルY』が単独車種として世界最多の販売台数を記録。ロボット事業や蓄電池事業も展開。

POINT

・イーロン・マスクが率いるアメリカの新興EVメーカー、米中市場が主戦場
・売上高・利益いずれも爆発的な成長、財務体質も破綻危機から急回復
・個々人により給与レンジが異なるが実力主義は徹底、新卒採用は停止中

就職偏差値と難易度

✔就職偏差値:68(上位)

かなりの勝ち組サラリーマン。サラリーマンとしては上位級の待遇をしっかりと得られる。給与・待遇は大手企業の中でも上位クラス、満足度の高い人生を安定して歩むことができる可能性が高い。
詳細な企業分析は以下の業績動向社員の待遇を参照。本レポート末尾に総合評価を記す。

✔就職難易度:至難

新卒採用はインターンシップ経由の採用のみであり、従業員の殆どは中途採用によって入社している。本社勤務となる総合職の採用数は非常に少く、入社難易度は非常に高い。
採用大学:非公開(出典:テスラジャパン採用情報

業績動向

✔売上高と営業利益

テスラの売上高は過去8年間で10倍以上に急増*1、直近の2023年には967.7億ドルにも到達している。営業利益は2019年まで赤字が続いていたが、同年以降は黒字転換。2022年には過去最高となる営業利益136.5億ドルに到達。
*1:2020年まで売上高が減少していた理由は、①世界各地のボトラーを再編する構造改革においてドイツや中国のボトラーを売却したことによる減収、②世界的な健康志向の高まりによるコーラ消費の停滞、③COVID-19感染拡大期の外食自粛、などが主要因。

✔セグメント別の状況

テスラは、新車部門(電気自動車の製造・販売)、規制収入部門(自動車排ガスCAFE規制におけるCO2排出権の販売)、自動車リース部門(電気自動車のリース)、サービス部門(販売後の点検・補修・車検などのアフターサービス)、エネルギー部門(定置型家庭用エネルギー貯蔵製品パワーウォールなど)、の5部門を有する。
当社は売上高の約80%を新車販売から得ており、とりわけアメリカ市場と中国市場が最大の稼ぎ頭となっている。着目すべきは規制収入部門であり、政府から自動車メーカーに分配されるCO2排出枠を他の自動車メーカーに販売することによる収入も得ている。電気自動車のみを取り扱う当社はCO2排出枠を余らせており、これを他社に販売している(参考リンク)。

✔最終利益と利益率

テスラの純利益は2020年まで赤字が続いていたが、2021年からは純利益を飛躍的に拡大させている。営業利益率の黒字化も2020年からだが、同年以降は6%~16%レベルで推移している。さすがに大手ITと比べると利益率の低さは否めないが、自動車メーカーとしては高めの利益率である。

✔自己資本比率と純資産

テスラの自己資本比率は2020年まで20%前後で停滞していたが、同年以降は増加傾向に転換。2023年には自己資本比率58.7%とかなりの高水準にまで高まっている。純資産は2016年からの約8年間で60倍以上に急増しており、2023年には626.3億ドルに到達。

社員の待遇

✔平均年収と平均年齢

テスラの平均年収は非公開。日本法人の場合、本社勤務の総合職では担当職レベルで800万~900万円ほど。マネージャークラスで1,100万~2,000万円ほど。給与レンジは個々人によるばらつきが大きい。RSU制度によりテスラ株が付与されるため、古株の従業員は当社株式の爆発的な株価上昇によって財産を築いた社員も多い。

✔従業員数と勤続年数

テスラの従業員数はグローバルで14.4万人レベル。ただし2024年に全世界の従業員数の10%を削減する計画が発表されており、減少する可能性が高い。日本法人における従業員数は2,000人ほどと推定される。日本法人における平均勤続年数は非公開。
*2:当社は世界的な電気自動車需要の急拡大を受けて従業員数を急速に増やしたが、一時的な需要減速と組織の肥大化による非効率性を受けて、従業員の約10%を削減することを発表している(参考リンク)。

総合評価

企業格付け:AA

敏腕経営者イーロン・マスクと世界的な電気自動車ブームを追い風に、2010年代後半から爆発的な成長を遂げた新興自動車メーカー。2010年頃まではマニア向けに電気自動車スポーツカーを小規模に販売するだけのベンチャー企業であったが、現在では年間180万台以上を世界で販売する電気自動車のトップランナーとなっている。業績は売上高・利益いずれも右肩上がりで推移しており、とりわけ2020年以降の業績急拡大が著しい。世界的な電気自動車ブームが追い風ではあるが、アメリカ市場と中国市場が主戦場である。2019年までは慢性的な赤字体質と不安定な財務体質によって倒産すら取り沙汰されるレベル(参考リンク)であったが、今やそのような影は微塵もない。とはいえIT企業とは異なり、営業利益率は好調時でも精々16.7%どまりであり、世間が思うほど驚異的な利益率を持っているわけではない。2023年の世界販売台数180万台と言う数字も、マツダ(同124万台)やプジョー(同112万台)を抜きこそすれ、世界の名だたる大手自動車メーカーと比べると遥かに小粒である。

就職格付け:A

長らく大手古参メーカーによる競争が主であった自動車業界に新風を巻き起こした革命的な企業。今でこそ米中市場が主戦場であるが、当社が2010年にアジア圏で初めて進出した国が日本であり、日本法人の歴史は意外と長い。日本法人における給与水準は、本社勤務の総合職では担当職レベルで800万~900万円ほど。マネージャークラスで1,100万~2,000万円ほど。福利厚生は希薄であるが、RSU制度によってテスラ株が付与されるため、2010年代から勤務している古株の従業員が当社株式の爆発的な株価上昇によって財産を築いたケースも多々。ただし、外資系企業かつ新興企業であるため、大手日系自動車メーカーとは異なり終身雇用は期待しがたい。アメリカ本社では過激なリストラやレイオフが度々話題になっており、日本においても報道は少なくない(参考リンク)。また、日本には研究開発拠点や製造拠点はないため、モノづくりや研究開発に興味がある場合には向かない。安定した雇用やネームバリューを求めるのではなく、ベンチャー気質かつ主体的に行動して絶えずバリューを生み続けられる熱意ある人材にこそ向く企業だろう。

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出典:Tesla, Inc.(Investor Relations)