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医療機器メーカー

【勝ち組?】シスメックスの就職偏差値・難易度と平均年収【企業研究レポート】

企業概要

シスメックスは、血液検査装置・生化学検査装置・尿検査装置などを展開する医療機器メーカー。1968年に血球計数装置を試作していた東亜特殊電機(現・TOA)の社内研究室が分離独立して設立。1970年代には欧米市場への進出を果たし、1990年には世界初となる血球計数・白血球分類・網血球計数測定・塗末標本作製を完全自動化に成功。⾎液凝固検査・尿検査・ヘマトロジー領域で世界シェア首位を獲得した。現在では世界190ヵ国以上に製品を輸出しており、海外売上高比率は86%にも達する。

POINT

・医療用検査機器で世界シェアトップ級、海外売上高比率80%以上
・売上高は堅調に増加しており利益安定、財務体質も十分すぎる健全性を確保
・平均年収874万円と、神戸本社の日系企業としてはトップ級

就職偏差値

✔就職偏差値:67(上位)

かなりの勝ち組サラリーマン。日系大企業としては上位級の待遇をしっかりと得られる。給与・待遇は大手企業の中でも上位クラス、満足度の高い人生を安定して歩むことができる可能性が高い。
詳細な企業分析は以下の業績動向社員の待遇を参照。本レポート末尾に総合評価を記す。

✔就職難易度:やや難関

総合職の採用数は年間80人~100人と企業規模の割にはやや多め、一般知名度も低めであるため倍率も高くならない。総合職の出身大学は関西地域が多いが、これは地元志向が強い学生が集まっているためと推察される。
採用大学:【国公立】大阪大学・神戸大学・名古屋大学・大阪府立大学・滋賀大学・神戸市外国語大学など、【私立】同志社大学・東京理科大学・立命館大学など(出典:リクナビ2025

業績動向

✔売上高と営業利益

シスメックスの売上高は長期的な成長傾向が続いているが、特に2020年ごろから急成長。直近の2023年には売上高4,615億円に到達。営業利益も2020年前後には一時後退したが、同年以降は増益傾向に転換。直近の2023年には営業利益783億円に到達。
*1:売上高が長期的に増加している理由は、①医療機関のニーズに的確にマッチした製品開発による機器拡販、②販売機器数の増加による試薬・消耗品の販売増加、③海外市場における血液検査装置類の需要拡大、④為替レートの円安推移による為替効果、など。

✔セグメント別の状況

シスメックスは、日本事業(日本国内における医療用機器の製造・販売)、米州事業(アメリカ・カナダ・中南米など)、EMEA事業(欧州全域・中東・アフリカなど)、中国事業(中国国内)、アジア事業(アジア全域)、の5事業を有する。
当社は世界190カ国以上で医療用機器を販売するグローバル医療機器メーカーであり、売上高の約80%を海外市場で稼いでいる。事業別に全社利益を分解すると、日本事業が全社利益の約70%を稼いでいるが、これは日本国内に主要工場が集結していることに起因する。

✔最終利益と利益率

シスメックスの純利益は、売上高の拡大ペースの割には伸び悩むが、長期的に320億〜490億円ほどで推移。営業利益率も長期的に16%〜20%ほどの高水準で安定している。

✔自己資本比率と純資産

シスメックスの自己資本比率は高水準で安定しており、長期的に70.1%前後の極めて健全な水準を確保。純資産は右肩上がりで増加しており過去8年間で約2倍に増加、直近では4,329億円となっている。

社員の待遇

✔平均年収と平均年齢

シスメックスの平均年収は2019年まで780万円前後で推移していたが、2021年以降は830万円〜870万円で推移*2。大卒総合職であれば30歳で700万~780万円ほど、課長職レベルで1,000万~1,200万円ほど。平均年齢はやや増加傾向だが、直近でも42.4歳と大手企業の標準的水準。
*2:当社は2020年頃から人材投資を加速させるため人事制度改革に着手。2021年にはジョブ型人事制度への刷新、2023年には全組合員を対象とした前年比5%の賃金アップを導入(参考リンク)。

✔従業員数と勤続年数

シスメックスの単体従業員数は2020年まで2,100人規模で横ばいだあったが、同年以降は増加傾向に転換。子会社や関連会社の従業員も含めた連結従業員数は1万人ほど。平均勤続年数は直近でも12年ほどに留まっており、大手企業としてはやや短め。

総合評価

企業格付け:BBB

病気の診断・治療・投薬効果測定などを目的とした「臨床検査」において、血液・尿・遺伝子・免疫などを検査する「検体検査領域」で用いる医療用機器を主力とする医療機器メーカー。病院・診療施設・大学・研究機関などで当社製品は重宝されており、ヘマトロジー(血球検数検査)では世界シェア首位に君臨する。売上高は海外市場における販売増加を追い風に右肩上がりでの増加傾向にあり、直近では売上高4,615億円に到達。利益はやや伸び悩むものの、景気後退局面も含めて安定的な利益確保力には定評。そもそも営業利益率17%~20%とかなりの高利益率企業であり、営業利益率でいえばオリンパス・テルモ・島津製作所などに匹敵する水準を誇る。財務体質も極めて良好であり、自己資本比率70%前後の高水準で安定的。

就職格付け:BB

神戸に本社を置く日系企業としてはトップクラスの業績・知名度を誇っており、同地を代表する企業の一角。さすがに一般知名度は極めて低いものの、医療従事者であれば誰もが知るレベルの企業ではある。給与水準は2020年頃までは平均年収700万円台で推移していたが、COVID-19以降は人材投資に本腰を入れてベースアップを断行。2021年からは平均年収830万~870万円のレンジに乗ったことで、メーカーとしては上位級の待遇にまで改善された。福利厚生もかなり充実しており、家賃補助制度・独身寮がしっかり整備されており、年間休日日数は125日とかなり良好。特に独身寮は7,000円/月ほどで居住できるために、住宅コストの負担感はかなり薄い。特筆すべきは兵庫県に主要拠点が集積している点であり、同県の出身者であれば地元に残りながら首都圏上位企業に匹敵する給与を得られるのは絶大なメリットであろう。

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出典:シスメックス株式会社(有価証券報告書)