企業概要
コカ・コーラは、アメリカに本社を置く大手飲料メーカー。1892年にエイサ・キャンドラーがコカ・コーラの権利を購入して創業。自社は原液製造・マーケティングに特化して、製造をボトラーに委託するビジネスモデルによって1890年代から全米へと拡大。1930年代以降は世界各地で販売を伸ばし、アメリカを象徴する炭酸飲料として世界的ブランドへ躍進。現在では全世界200以上の国と地域で毎日19億杯分を売り上げる、世界屈指の飲料メーカーとして君臨。
・世界最大の飲料メーカー、全世界的な高いブランド力に強み
・売上高は横ばい気味だが利益は堅調な増加傾向、財務体質も問題ない
・マネージャーレベルで年収1,500万円を目指せる、新卒採用は停止中
就職偏差値と難易度
✔就職偏差値:76(最高峰)
日本企業における最高峰クラスのキャリアであり、誰もが勝ち組として認めるレベルの待遇・名声が得られる。入社するためには人並み外れた能力・努力は当然、運も必要である。
詳細な企業分析は以下の業績動向・社員の待遇を参照。本レポート末尾に総合評価を記す。
✔就職難易度:至難
2016年から新卒採用は廃止されており、現在は中途採用によってのみ入社可能。日本法人は僅か500人強の組織規模であるため、求人数は限りなく少ない。このような状況ゆえに入社難易度は極めて高い。
採用大学:非公開(出典:日本コカ・コーラ採用情報)
業績動向
✔売上高と営業利益
コカ・コーラの売上高は2020年まで減少傾向が続いていたが*1、同年以降は回復傾向に転換。営業利益は緩やかな増加傾向がみられ、2021年以降は営業利益100億ドル以上を確保。
*1:2020年まで売上高が減少していた理由は、①世界各地のボトラーを再編する構造改革においてドイツや中国のボトラーを売却したことによる減収、②世界的な健康志向の高まりによるコーラ消費の停滞、③COVID-19感染拡大期の外食自粛、などが主要因。
✔セグメント別の状況
コカ・コーラは、欧州他部門(ヨーロッパ・中東・アフリカにおける事業)、南アメリカ部門(南米地域・ラテンアメリカ諸国における事業)、北アメリカ部門(北アメリカ諸国における事業)、アジア部門(アジア太平洋地域における事業)、グローバルベンチャー部門(コスタコーヒー事業、モンスタービバレッジ社への投資など)、ボトラーズ投資部門(東南アジア・南西アジア・およびアフリカにおける自社投資のボトラーズ)、の4部門を有する。
当社は世界の多くの地域において、企画・マーケティング・原液製造のみをおこない、実際の製造・物流はボトラー会社に委ねている(コカ・コーラシステム)。日本においても、ボトラー会社5社(コカ・コーラボトラーズジャパン、北海道コカ・コーラボトリング、みちのくコカ・コーラボトリング、北陸コカ・コーラボトリング、沖縄コカ・コーラボトリング)が製造・物流を担っている。
✔最終利益と利益率
コカ・コーラの純利益は2017年のみ一時急減したが、同年以外は60億ドル〜100億ドルを確保。営業利益率は20%~27%レベルで長期的な推移しており高利益率を誇る。
✔自己資本比率と純資産
コカ・コーラの自己資本比率は20%~28%ほどの水準で長期的に推移しており、それほど高くはない。ただし、当社の場合は利益水準が極めて安定していることもあり、資本効率を高めるために積極的な株主還元を進めて意図的に資本を薄くしている事情があるため問題はない。純資産は2017年から右肩上がりの増加傾向にあり、2023年には274億ドルに到達。
社員の待遇
✔平均年収と平均年齢
コカ・コーラの平均年収は非公開。日本法人の場合、担当職レベルで800万~1,200万円ほど。マネージャークラスで1,300万~1,500万円ほど。中途入社が大多数を占めるため、給与レンジは個々人によるばらつきが大きい。
[日本法人の個別データは非公開]
✔従業員数と勤続年数
コカ・コーラの従業員数はグローバルで8.6万人レベル。日本法人における従業員数は525人(2023年)と極めて少ない。日本法人における平均勤続年数は非公開。
*2:当社は企画・マーケティング・原液製造のみに特化するビジネスモデルであるため、最小限の人員のみに留まる事情がある。
[日本法人の個別データは非公開]
総合評価
企業格付け:SS
言わずと知れた最大級の巨大飲料メーカー。代表的な製品であるコカコーラは単なる炭酸飲料という枠を越え、アメリカと資本主義経済を象徴する存在として全世界で親しまれる。すべての製品を合算すれば、実に全世界200以上の国と地域で毎日19億杯分を売り上げるという驚異的な販売力を持っている。業績は2020年頃までは売上高の減少があったが、営業利益は70億ドル〜110億ドルほどで大いに安定。売上高の減少についても利益率が低いバトラー会社を売却したことによる影響が大きく、世間で言われるほど世界的な健康志向の高まりは事業の逆風とまではなっていない。巨額の利益を安定的に確保できている割には財務体質が普通だが、これも過剰資本を蓄積しないように株主還元に注力していることが主要因である。
就職格付け:SS
飲料業界における世界トップ企業であり、過去130年以上の歴史を持つ名門中の名門。日本市場においては、日本コカ・コーラは企画・マーケティング・原液製造のみに特化しており、製造・物流などはすべて全国5社のボトラー会社へと委ねている。このビジネスモデルにより、日本コカ・コーラは僅か従業員500人ほどの組織規模で著しい高利益を確保できる構造となっている。給与水準は飲料メーカーとしては最高峰であり、担当職レベルで800万~1,200万円ほど。マネージャークラスで1,300万~1,500万円ほど。ただし福利厚生は乏しく、家賃補助制度も借上げ社宅制度もない。日系大手飲料メーカーと比較した当社の長所は、①企画・マーケティング・研究開発などの花形場所しかないため不本意な場所で雑務を経験させられるリスクがない点、②都内1拠点のみで僻地勤務の可能性が皆無である点、③圧倒的なネームバリューと世間体の良さ、など。2016年を最後に新卒採用が途絶えているため、入社するには中途採用しかないことは注意点。
出典:The Coca-Cola Company(Investor Relations)