カテゴリー
日用品メーカー

【勝ち組?】アース製薬の就職偏差値・難易度と平均年収【企業研究レポート】

企業概要

アース製薬は、殺虫剤・防虫剤・入浴剤・洗口剤などを製造販売する日用品メーカー。1889年に木村秀蔵が大阪府・難波に薬品メーカーとして創業。創業当時は塩酸・硝酸などを製造していたが、1929年に発売した噴霧式殺虫剤『アース』が大ヒットさせた。1969年には経営不振に陥ったことで会社更生法を適用するに至ったが、大塚グループが救済する形で再建。現在では、殺虫剤で国内シェア57%と首位、洗口剤・入浴剤・園芸用品・ペット用品なども幅広く展開。

POINT

・殺虫剤で国内シェア首位の日用品メーカー、大塚グループ傘下
・売上高は横ばいだが利益がコスト増で低下傾向、財務体質はかなり良好
・平均年収はやや減少して直近は661万円、高倍率の割には中堅上位レベル

就職偏差値

✔就職偏差値:61(中堅上位)

大手企業の中でも中堅上位クラスの1社であり、世間的にも有名企業として認知される。入社できればサラリーマンとして、かなり安定した人生が得られるだろう。
詳細な企業分析は以下の業績動向社員の待遇を参照。本レポート末尾に総合評価を記す。

✔就職難易度:やや難関

総合職の採用数は年間15人~30人と企業規模の割にはかなり少なめ。一般知名度の高さもあって入社倍率は高い。一定以上の実績と志望動機がなければ突破はかなり難しい。
採用大学:【国公立】東北大学・神戸大学・千葉大学・岡山大学・山口大学・横浜市立大学など、【私立】同志社大学・関西学院大学・中央大学・法政大学・近畿大学など(出典:マイナビ2025

業績動向

✔売上高と営業利益

アース製薬の売上高は長期的に1,900億〜2,100億円ほどで横ばいだが、2020年頃には1,682億まで減少*1。営業利益は2020年・2021円に100億円を上回った*2が、同年を除けば営業利益10億~70億円程で長期的に推移している。
*1:売上高が2022年に急減した理由は、①同年から「収益認識に関する会計基準(企業会計基準第29号)」を適用したこと、②天候不順に起因したハエ・蚊・ゴキブリの減少で虫ケア用品の販売低迷、など。
*2:2020年の利益上昇は、①好天候による虫ケア用品の販売好調、②COVID-19感染拡大による家庭用マスクの特需、③外出自粛による入浴剤・日用品の販売好調、など。

✔セグメント別の状況

アース製薬は、虫ケア用品事業(殺虫剤・防虫剤・ネズミ駆除剤など)、口腔衛生用品事業(オーラルケア『モンダミン』など)、入浴剤事業(入浴剤『バスロマン』など)、その他日用品事業(消臭芳香剤・掃除用品・園芸用品など)、ペット用品事業(ペットフード・ペット用品・ビタミン剤など)、環境衛生事業(工場・病院などの衛生管理サービス)、の6事業を有する。
当社は戦前から殺虫剤をコア事業としてきた企業であるが、現在では殺虫剤以外の事業が売上高の約60%以上を占める。気候によって業績が左右される殺虫剤事業に依存しすぎない事業ポートフォリオを構築することで業績の安定化を果たしている。

✔最終利益と利益率

アース製薬の純利益は2020年に70億円に達したが、同年以降は減少傾向*3。営業利益率は長期的に2%〜5%ほどで推移しており、日用品メーカーとしては利益率はさほど高くない。
*3:2021年以降の利益減少の理由は、①世界的な原材料価格の高騰と為替レートの円安推移によるコストアップ、②値上げ対応の遅れによる利益減少、③構造改革に向けた設備投資・IT投資・人材投資による費用支出、など。

✔自己資本比率と純資産

アース製薬の自己資本比率は2019年頃まで40%前後で推移していたが、同年以降は50%前後へと上昇。純資産も2019年まで440億~505億円で推移していたが、同年以降は増加傾向に転換。直近では純資産720億円に到達。

社員の待遇

✔平均年収と平均年齢

アース製薬の平均年収は長期的に640万~740万円程で推移している。2021年・2022年のみ前年度の業績好調により平均年収720万~740万円に達したが、2023年には661万円に後退。大卒総合職であれば30歳で500万~570万円ほど、課長職レベルで880万~950万円ほど。

✔従業員数と勤続年数

アース製薬の単体従業員数は微増傾向が続いており、直近では1,358人となっている。子会社や関連会社の従業員も含めた連結従業員数は4,800人ほど。平均勤続年数は13年~14年ほどでの横ばい推移となっており、長くもなければ短くもない。

総合評価

企業格付け:C

フマキラー・大日本除虫菊と並ぶ、日系三大殺虫剤メーカーの一角。そして日系三大殺虫剤メーカーの中でもトップの業界シェアと企業規模を持つリーディングカンパニーでもある。業績は日用品メーカーだけあって安定的だが、主力の虫ケア事業が毎年の気候次第(虫が多い年か少ない年か)により業績が左右しやすい側面もある。そのため、日用品・入浴剤・ペット用品など事業多角化によって業績安定化を図っている。売上高は2021年に2,000億円を超えたが、同年以降は会計基準の変更によって1,500億円台で安定。営業利益は2020年に114億円に達したが、同年以降の世界的な物価高と円安進行によるコストアップで減益傾向に転換している。とはいえ、財務体質は自己資本比率50%を上回っており、かなり堅実な水準を維持できている。いったんは物価高と円安の落ち着くまで耐え凌ぐ時期であろう(もしくは虫が大量発生する年になることを待つか)。

就職格付け:CC

誰もが一度は聞いたことがあるであろう殺虫剤と日用品の著名メーカー。1969年に一度は経営破綻に陥りかけるが、製薬大手の大塚グループに救済されたことで復活を遂げた(現在でも大塚グループ傘下にある)。2010年頃には同業のフマキラー株を買い占めて買収を図るも、対立関係が深刻化した末にフマキラーは同業他社のエステーと連合を組む道を選び、当社とは破局(参考リンク)。給与水準は直近で平均年収661万円と業界上位ではあるが目を見張るような高待遇でもない。大卒総合職の30歳で500万~570万円ほど、課長職レベルで880万~950万円ほどと、中堅上位メーカーの標準的な待遇だろう。福利厚生は企業規模の割にはかなり手厚く、特に住宅補助が良好。入社3年目までの若手社員は月額9,000円の自己負担で借上げ社宅で暮らせる。兵庫県地盤の企業であるため主要拠点は同県に集結しており、地元志向が強い同県出身者にとっては優先して応募できる企業だろう。

就職偏差値ランキング【完全版】はこちら!

出典:アース製薬株式会社(有価証券報告書)